仁和の帝、親王におはしましける時に、人に若菜たまひける御歌
君がため春の野にいでて若菜つむわが衣手に雪は降りつつ

(古今和歌集  巻第一  春歌上)


=====【日本古典文学全集(小学館)の訳】=====

仁和の帝(光孝天皇)が即位なさる前に親王でいらっしゃった時に、
ある人に贈られた若菜に添えてお詠みになった 歌
あなたに差し上げようと思って 春の野に出て若菜を摘んでいると、
袖には雪が降りかかりますが、それを我慢して摘んだのがこの若菜なのです。

==============================

 

☆☆☆☆☆☆【和歌コードで読み解いた新訳】☆☆☆☆☆☆


(※『和歌コード』とは、直訳では出てこない言葉の裏に隠された解釈のこと。
この和歌に込められた作者の意図をより深く読み取った

しじまにこのオリジナル訳です。


題詞;光孝天皇が時康親王時代に、病気で重態の父(仁明天皇)のために
薬草となる若菜を摘んでお与えになった時の歌

 

 


作者;親孝行の光孝天皇

 


病気の父(仁明天皇)を側で見ていると辛すぎるので、雪の中、野に出てきました。


父の病気が重いことを考えると、雪が降り続けるように涙が止まりません。


私は、着物の袖で涙をぬぐいながら若菜を摘んでいるのです。


少しでもこの薬草が病気に効きますように。


邪気を払うことができますように。


そう祈りながら父の元に届けます。

 

 

☆☆☆☆☆【和歌コード訳の解説】☆☆☆☆☆

 

 

 

光孝天皇の父は仁明天皇です。

 

仁明天皇は7歳の頃から病気がちで、


即位後も薬を調薬して飲んでいたとのことです。

 

この歌は、

 

百人一首に選ばれています。

 

しじまにこ、個人的にも大好きな一首です。


若菜;早春に芽生えたばかりの芹、なずななどの野草を摘んで食し、その生命力にあやかって邪気を払い健康を願った風習。


君;天皇