カゼには漢方、葛根湯
これは漢方医学の大家である藤平健先生のご著書のタイトルです。カゼを引いたら葛根湯を飲むというのは一般に広く認識されています。ただ、全てのカゼが葛根湯でよくなるというわけではありません。葛根湯は、「頭痛、悪寒、発熱があって、発汗がなく、首が凝る」といった症状を伴うカゼに対して有効です。「頭痛がして、悪寒、発熱がして、身体の節々、四肢の関節が痛んで、発汗がない」という状態なら、麻黄湯が有効です。「頭痛がして、悪寒、発熱があるが、じんわりと汗をかいている」というような場合には桂枝湯が選択されます。葛根湯、麻黄湯、桂枝湯と3つの漢方薬をあげました。体力のある順番では、麻黄湯が一番体力のある人向け(実証と呼びます)、次が葛根湯(虚実中間証と呼びます)、一番体力が低下している人向けなのが桂枝湯(虚証と呼びます)。
西洋医学的な治療が病名によって処方が決まり、体質は余り気にせずに用いるのに対して、漢方医学では体質が処方選択の重要な鍵になります。ごく簡単には発汗の有無だけでもおおよその体力の有無はわかります。じんわりと汗をかいているのが虚証。全く汗をかかないのが実証と考えてよいでしょう。
背筋がゾクゾクして、喉がチクチクと痛む。脈をみると、沈んで(強く押さえないと脈を触れないこと)、弱い時に用いるのが麻黄附子細辛湯です。麻黄湯、葛根湯、桂枝湯が陽証という熱が目立つ状態に用いるのに対して、麻黄附子細辛湯は冷えが目立つ状態に用います。