1.定期総会
 6月19日(火)夜、新橋事務所で、認定後最初の定期総会が行われた。現在の「行政再生」は、役員10名、会員5名の総勢15名である。この日は講師も交え、13人が参加し、平成18年度の決算および平成19年度の事業計画等が承認された。

 定期総会中、今年度は「地域再生」を重点的に研究会を開催し、年度中に出版も視野に入れた政策提言を行うことも確認された。その際、地域再生の前提条件として、次のアプローチ手法が必要であることも確認された。
? 第3セクター(自治体・地銀折半)
・ 公共交通事業以外、第3セクターは不要
・ 自治体が行った損失補償は、住民負担
・ 地域再生による地銀経営破たんはオーバーバンキング解消の過程
? 地場産業
・既存の事業再生手法活用(会社法関連制度)

2.研究会
 定期総会終了後、直ちに研究会を開始した。講師に、日本政策投資銀行の地域振興部参事役 藻谷浩介氏を招待し、「地域間格差」は本当に拡大しているのか-基本統計に見る実態と気付かれぬ本当の問題点」と題して、午後7時から9時30分まで、藻谷氏のプレゼンテーションと出席者からの質問、意見交換が活発に行われた。

 藻谷氏を超える人はいないといわれるほど、藻谷氏は全国隈なく地域視察を行っており、そこで得られた資料、スライド等を活用し、年間400箇所で講演を通じて意見交換している講師だけに、一枚一枚の資料、スライドには重大なメッセージが含まれていた。特に、現在の東京は、トヨタの愛知と合わせ、一人勝ちの様相である。しかし、トヨタ城下町を支える刈谷市は、全国一豊かな財政基盤がありながら、街づくり投資を行っていないことがスライドで明らかとなり、豊かな居住空間とは無縁の町並みは、市の財政だけでは計れない、本当の街づくりとは何かを考えらせられる課題を見せ付けられた。
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同じように、活況を呈する東京を含む首都圏一都三県の現在の20歳~59歳の現役世代の数は1966万人もいる。しかし、2000年から2005年のわずか5年間に27万人減少した。また、現在の高齢化率17.5%は2015年には24.8%、人口比で45%増(75歳以上は63%増)と予想されている。この高齢化比率は現在の島根県と同じであり、東京も10年以内に地方と同じ状況になることを示唆している。この実態が今回の都知事選でなんら議論されないことが、現在の日本の政策不在、そして、マスコミも価値ある分析情報を国民に提供しておらず、嘆かざるを得ない。

 また、阿部総理の地元である下関の1975年の人口構成は、現在の東京と全く同じであり、さらには、中国も20年遅れで日本を追いかけてくるのが明らかとなった。日本の将来の課題は、現在でも各地に実在する。そして、アジアの一員である日本も、他の隣国と密接な相関関係が存在する。

 今回の研究会では、政府が発表する失業率、高齢化率等のデータが、大きなミスリードを引き起こしていることが実感した。基本統計と現場視察、そして、データによる比較分析、最低、この3つを冷静に分析し、あるべき「地域再生」のあり方を引き続き研究してゆくことが大事である確認された。次回は、7月17日である。具体的な地域再生の成功事例を研究する。
以上
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