東京国際フォーラムで、前国税庁長官、元財務省主税局長である「大武健一郎氏」を講師に迎え、日本の財政・税制の問題点について講演を頂きました。
 同氏は、私が衆議院議員現職時代に、税法、税理士法改正等について衆議院財務委員会で何度も議論を行った間柄であり、商工中金の副理事長になってからも、「日本の大転換(かんき出版)」、「税財政の本道(東洋経済新報社)」等の出版を通じ、現在でも日本の税制に影響力を持っています。
いままで、当勉強会はマクロからの税制論議をする機会がなかったため、今回、この分野での第一人者である大武氏の話は、税制の専門家である公認会計士・税理士に対して、世界を見る目、そのなかでの日本の役割等、当初の予想を超えるグローバルな内容になったため、大好評を得ました。特に、2日前にベトナムから帰国した同氏は、ベトナムに会計帳簿制度と税理士制度の導入に私財を使い永年尽してきた体験を紹介しながら、アジアのほとんどの国において会計帳簿制度が整備されていないため徴税制度が機能していない実態と比較し、アジアの一員である日本の現在の会計帳簿制度、徴税制度を他のアジア諸国に伝授することの意義と必要性を強調していました。
また、近年行われた「土地建物の長短分離課税」および「役員報酬」の税制改正の背景を紹介され、税の専門家から不評であったこれらの税制改正について、わずかの時間で説明した20年間の税務行政の経験は、有無を言わせぬものがありました。
最後に、財政再建がなされた状況とは?との質問に対しては、特例公債発行額がゼロになり、国債金利が上昇しない状況と説明していました。また、日米金利差による円安傾向がもたらす日本経済および財政への影響にも触れ、1時間30分の今回の「経済のグローバル化と日本の財政・税制」と題した勉強会でしたが、その倍にも匹敵する内容であったと自負しています。
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