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(1)経 緯
  現在、私は、公明党東北元気アッププロジェクトリーダーとして、月に10日以上、東北各地を訪れています。その中で、日比谷高校出身の方の紹介で、同じく日比谷高OBの山形県選出の加藤紘一衆議院議員と懇談の機会を持ちました。丁度その時、加藤氏から韓国新大統領に表敬訪問する計画があるから参加しないかとのお誘いを頂き、新大統領がビジネス志向であり、公認会計士の観点から、新しい韓国の情勢を視察する良い機会と捉え、今回の参加となりました。
 今回の訪韓は、韓国経団連会長の趙錫來会長の存在が大きく、奇しくも日比谷高OBであり、かつ、新大統領誕生の中心者でもあり、加藤氏と同門という諸条件が重なり、2月25日の大統領就任式前の表敬訪問となりました。
 貴重な機会のため、超党派で訪韓する話となったようで、次の国会議員が参加しました。
〈自民党〉〔衆院〕加藤紘一〈団長〉、山崎拓、小坂憲次、中谷〔参院〕鶴保庸介
〈公明党〉〔衆院〕東順一、富田茂之〔元衆院〕若松
〈民主党〉〔衆院〕仙石、枝野、土居、〔参院〕蓮舫
〈社民党〉辻本清美衆議院議員
 折しも、国会では大連立のうわさが消えない状況の訪韓チームだけに、マスコミ10社が同行しました。

(2)勉 強 会
 2月10日朝8時に羽田を発ち、金浦空港着後直ちに、宿泊兼会議場であるロッテホテルで勉強会が始まりました。
 最初に、「国内政治と対外関係」と題して、ソウル大の尹教授から講演がありました。李明博新大統領は、現代建設に平社員から入社し、12年後に社長になった立身史伝をもっています。ソウル市長時代にも多くの実績を作り、昨年の大統領選挙で半数近くの得票を得て大統領に選ばれた人です。政治家、軍人経験がなく、民間経営者がいきなり大統領になったはじめてのケースであり、過去10年間続いた2代の大統領によるイデオロギー政治脱却をめざし、韓国国内の課題に挑戦する新大統領に対し、国民の期待は非常に大きいものが感じられました。
 尹教授は、外交政策の立案者であり、「北の核無力化」を前提に「北朝鮮10年以内3千ドル経済確立」のため、400百億ドルの資金投資を計画しました。
 合わせて、韓国国内目標として、これから10年間、毎年7%以上の経済成長を継続し、一人当たり年間所得4万ドルを実現し、世界第7位の経済大国を達成する「747計画」を打ち出しており、上場会社の中長期計画発表のような内容になっています。李新大統領は、イデオロギーは政治をまとめやすいが、後に自国にマイナスになると言っており、「実利主義」を全面に出し、貧富の差を解消する政策を取ります。
 もう一人の講師は、「韓日FTA」と題して、女性の金博士から、韓国と日本の貿易・経済の分析と問題点を浮かび上がらせ、NAFTA型よりEU統合に近い、新しいモデルの「韓日FTA」の形を提唱していました。
 EU統合を見てきた私は、日本政府はEPA(経済連携合意)を推進しており、FTA(自由貿易協定)という、比較的古い経済条約モデルを韓日に適用する意味はなにか?との問いに対して、金博士は、「NAFTA」のような経済連携ではなく、社会システム統合も含んだ「EU統合モデル」に近いFTAを作るべきとの指摘に、いよいよ、韓日新時代到来を実感することが出来ました。

(3)李明博韓国新大統領表敬訪問
  加藤団長は、今回の超党派議員団は、外交はできるだけ超党派で行うべきと理解する議員で構成されていると前置きをし、ナショナリズムはいずれ、自国に降りかかるとの観点から、「実利主義」を貫く、李新大統領に大きな期待を述べました。
 また、当日の朝食会に行った韓国の大手新聞社代表との意見交換会で、ある新聞社が言った「韓国が明るくなった」とのコメントを紹介し、李大統領の次の言葉がありました。
 大統領は、個人も社会も開き、心も開くことが未来にプラスになる。福田総理と共に、過去より未来のために努力することが重要であり、アジア・両国の未来のために、積極的に協力し行動することが大事であると述べていました。
 2月25日の大統領就任式には、福田総理を含め6カ国から首脳が出席しますが、李大統領は、時間の関係上、首脳会談は、福田総理だけとなることを明確に述べていました。
 会談後、大統領は一人ひとりとの写真撮影に時間をかけ、当初30分の予定時間をオーバーし、和気合いあいの中で50分の時間が過ぎました。
 大阪生まれの李新大統領ですが、日本語はほとんど話さず、私が握手する際、英語で、「ビックビジネスをしましょう」と英語で声をかけたら、笑顔でぜひやりましょうと答え、本当に経営者大統領の感を強く持ちました。

(4)呉世勲ソウル市長
 李新大統領の訪問の後、ソウル市長に表敬訪問しました。ソウル市は、人口1千万人を超え、25の行政区をもつ、東京並みの都市となっています。
昨年選出された呉ソウル市長は、1961年生まれの若い、ソフトムードの弁護士市長でした。丁度、昨日、南大門が全焼したのを加藤団長がお見舞いの言葉を述べた時、早速、南大門も含む周辺の再開発計画を紹介していました。

(5)その他の会合
 国会議員による議員交流団は、やはり、日程がびっしり詰まっており、2日間の日程で、上記以外に次のスケジュールがありました。

?日本大使からの情報提供(2月10日昼食会)
?韓国国会議員との夕食会(2月10日夜)
?韓国4大新聞社幹部との意見交換(2月11日朝食会)
?日本記者団との合同記者会見〈2月11日昼食前〉
?李相得韓国国会副議長(李新大統領の実兄)主催の昼食会(2月11日)

 これらの日程で残念だった点は、李新大統領誕生という、日韓新時代の相互発展の戦略的パートナーシップを構築できる絶好の機会にもかかわらず、日本記者団の質問は、大きな時代の変化を感じとらず、政界再編、大連立のような政局絡みばかりに集中していました。
ある記者が民主党の仙石議員に、今回の政界再編につながるか?との問いに対して、仙石氏は「この程度の動きで政界再編になっていれば、日本の政治はもっと良くなっている」と返答していたことが印象的でした。隣国の韓国が世界第7位の経済大国を目標にかかげ、日本は目標を掲げられずにいる政治不在、それを助長する瑣末なマスコミ報道の日本の実態に、一人当りGDP20位近くに低迷している日本を再生する使命は、私自身が、まずは東北を元気にして、日本再生の道筋を作らなければならないとの決意を、今回の訪韓で強く持ちました。
08.02 韓国

以上