本年も税制改正の季節がやってまいりました。
安倍政権となり、初めての税制改正となる平成19年度税制改革大綱は、例年より1日早い、12月14日の午後に正式に決定しました。
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改正の主なポイントは以下の通りです。
? 減価償却制度の見直し
? 中小企業の留保金課税の廃止
? 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入額の引き上げ
? バリアフリー改修促進税制の新設
? 上場株式等配当・譲渡益10%軽減課税の1年延長・廃止(P6,P15)
消費税に関しては、「平成19年度を目途に・・・消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」の表現に留まり、来年7月の参院選後から本格的な議論が始まります。

 昨年の税制改正で不評だった特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入上限額を8百万円とする案が突然発表となりました。その後、幅広い団体からの大反対運動となったため、本年の税制改正で損金不算入上限額を2倍の16百万円に増加されました。
 また、資本金1億円未満の中小企業は、今後、留保金課税が廃止されます。さらには、事業承継税制の軽減策として、65歳以上に認められていた株式相続額25百万円までの非課税額が60歳以上に引き下げられ、同時に、30百万円まで非課税額が増加され、中小企業の事業承継環境が改善されました。

 本年の税制改正の特徴は、数年ぶりの数千億円規模の企業減税であり、全体として、反発の少ない内容がほとんどでした。しかし、来年はそうは行かないでしょう。消費税改正の内容を来年度中に結論を出すことが、今回の大綱に記載されたからです。その方向性を占うのが、来年7月の参院選です。今後半年間は、日本の税制と行政サービスが、中福祉中負担になるか、低福祉低負担になるかの分かれ目を決定付ける期間となるでしょう。