――特殊法人改革の現状は?


若松かねしげ副大臣 163あった特殊法人等のうち、既に158法人の廃止、民営化、独立行政法人化などが決まっている。
 特殊法人等からの予算要求も、年間5.3兆円から年間3.9兆円に減った。差額の1.4兆円は特殊法人等がやらなくてよかった業務であり、行政のムダを大きく削減できた。恐らく戦後、兆円単位を超える予算削減を実現した行政改革はないのではないか。公明党が推進してきたムダ・ゼロ政策は大きく前進している。


――10月に32の独立行政法人に移行するが、単なる看板の掛け替えにならないか?


若松 特殊法人は今までよく見えなかった。独立行政法人は情報公開の量が圧倒的に多くなっており、天下りの実態や高額な給与などがあれば、おのずと明確になる。
 また「特殊法人改革」はいわば外側、入れ物の改革。中身の改革は「行政評価制度」だ。両方が相まって機能しないと実質的な改革につながらない。
 独立行政法人は、年度ごとと目標期間ごとに、各府省の評価委員会と総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会によってダブルチェックされる。また目標期間終了時には、主務大臣が、組織・業務全般の見直しを行い、民営化、整理縮小、予算削減といった措置をとることになっている。そういう意味で独立行政法人へのチェック機能は働くと考える。
 しかし、現場を離れた外部からのチェックというのは、どうしても弱くなる。私は、学識経験者などが内部に入って、そこで問題提起し、その場で解決していく方法を検討すべき時期にきていると思っている。


――高級官僚の天下りも問題では?


若松 天下りというのは結局、公務員の終身雇用システムの一環だ。成果主義の観点からすると、行政経営の責任の所在が不明確になることが問題だ。
 その意味で私は以前、“大臣と独立行政法人の長が契約を交わす形に持っていくべきだ”と小泉首相に提言した。大臣と法人の長が、業績目標について契約を結び、契約が実行されない場合には、長に責任を取ってもらう。長の採用手続きは、競争原理と透明性を確保するために、公募制を導入するという考え方だ。首相は“いい案だ”と言っていた。
 こうしたシステムを法律で定めることができれば、英国で成功を収めたエージェンシーのメリットを日本でも享受できるのではないか。