周りの状況が読めないわけ その4 | アメリカ発 発達障害のお子様を持つご家族へ伝えたいこと

アメリカ発 発達障害のお子様を持つご家族へ伝えたいこと

子どもの気持ちに寄り添いながら
親も子どももハッピーになれる目からウロコの考え方や
発達障害特有の生きづらさを改善するためのシンプルなエクササイズ
お子さんが驚くほど変わる接し方や親の心の持ち方など
私が知る限りの情報をお伝えします

こんにちは!

 

今日はこの記事の続きです。

 

 

 

 

 

社会的相互作用のコンテキスト(Context in Social Interaction) 

 

ウィキピディアによると、社会的相互作用とは、人々が状況に意味を持たせ、他者が意味しているものを解釈し、それに応じて反応する事象 です。

 

人間の行動というのはコンテキストで意味が全く違ってきます。

 

例えば手を挙げる という行動は、コンテキストによって 

ー学校で生徒が手を挙げて発言しようとしている

ー子供が横断歩道を渡っている

ータクシーを拾おうとしている

ー選手宣誓をしている

などなどと意味が違ってきます。

 

なので、人間の取る行動に適切に対応するには コンテキストを理解できることが必要になってきます。

 

また、嘘をつくことは悪いことだと教えられますが、時と場合によっては嘘をつかないと失礼な人だと思われてしまいます。これもコンテキストによって同じ行為が悪いことだったり、いいことだったりするわけです。

 

よく、自閉症スペクトラムの子供に社会性をみがくための練習として このような時はこのように受け答えするといいよ、というように教えることがありますが、それはあまりお勧めできないということです。

 

なぜかというと、こういう教えられ方をすると 例えば誰かを家に招待した時、まずはドアを開けて、「ようこそお越しくださいました。どうぞおあがりください。」と言いましょう。そして「コートをお預かりしますか。」と言って。。。 などと練習していると、コンテキストが理解できないうちは 真夏に誰もコートを着ていなくても 「コートをお預かりしますか。」と台本通りに言ってしまうことになるからです。

 

自閉症スペクトラムの特性として、嘘=いけないこと 赤信号=止まる などと一つの事柄に対して一つのルールを結びつける傾向があるため、上記のような教え方をされると

 

お客様が来る=コートをお預かりしますかと言う ルールとして理解するので、状況が少し変わると臨機応変に対応することが難しいわけです。

 

ですから大事なのはこういう時にこういうことを言うとかやるとかいうことよりも、いつ そういうことを言ったりやったりするべきなのか、いつ そういうことを言ったりやったりしてはいけないのかを教えてあげることです。

 

以前の記事でご紹介したアメリカの自閉症スペクトラムの超有名人のテンプル グランディンさんはこう言っています。

「第一のルールは、ルールなんかないということ。すべてはコンテキストによって意味がコロコロ変わる。」

 

ソーシャルスキルを教えるのではなくて、コンテキストを読み解く力をつけるのが大切なわけです。

 

どういうことかというと、上の例だと

 

もしもお客様がコートを着ていたら、「コートをお預かりしますか?」と聞く

 

もしも「いいえ」や「お構いなく」と言われたら、そのままお客様に家に上がってもらう。

 

もしも「はい」や「お願いします。」と言われたら、お客様がコートを脱いでコートを渡してくれるまで待ってからコートを預かる。そしてコートをコート掛けに掛ける。

 

もしもコート掛けがなかったら、近くの椅子にコートを丁寧に置く。

 

のように 考えつくかぎりの状況に合わせた対応の仕方を教えるということです。

 

もちろんおこりうるすべての状況を伝えられるわけではありませんが、行動のバリエーションを知るだけでかなり臨機応変に対応することができるようになります。

 

続きます。

 

読んでいただいてありがとうございます。


自閉症児育児ランキング

 

フォローしてね