仕事終りの健太の携帯に着信が
出てみると
「あ、お疲れ様 大東です」
「お、おつかれ~」
「頼みがありまして、電話しました」
「頼みって?」
「話したら長くなるので、どこかで会いませんか?」
「え、ああ…」
そう言って、公園で会う事にした
「酒井さ~ん」
「おう」
「ごめんなさい、急に電話して来てもらっちゃって」
「何だよ話って?」
「とりあえず、座って」
2人はベンチに座った
「いやぁ~今度ですね~
ドラマの撮影で結婚式やるシーンがありまして…」
「あ、待て!
また、練習相手とか言うんじゃないだろうなぁ~」
「あ、分かっちゃいました」
「あ、でも 結婚式なんてさ、練習しなくてもできるじゃん」
「それが違うんですよ、普通じゃなくてですねぇ~」
「何だよ、普通じゃねぇって?」
大東は台本を鞄から取り出す
台本を開いて問題のページを見せる
指を指しながら
「このシーンなんですけど…」
「何だ、これ?」
「令嬢との結婚式
大がかりな内容、自分たちで練習、
時間が決まってるから、失敗は出来ない!」
「これ、無理じゃねぇ~」
「だからなんですよ~
僕一人じゃ無理、酒井さん!助けて下さいよ!」
「え~おれもやった事ねぇから分かんねぇよ!」
「お願いします!酒井さん!」
「おれも無理だって!」
「相手がいないと何にも出来ないんですよ!
誰も練習相手してくんないんですよ~
頼みますよ、酒井さん!」
めちゃめちゃ困った様子の大東君に
「分かった分かった!もう~手伝ってやっから!」
「え、本当ですか?」
「仕方ねぇだろぅ~困ってんだったらよ~」
「ありがとうございます!酒井さん!」
嬉しくて健太に抱きつく
「ちょ、ちょっと!離せって!」
「あ、ごめんなさい~つい、嬉しくて」
「でも、どこでやるんだ?
セットもないし、場所なんかねぇんじゃねぇのか?」
「あ、それでしたら セットよりかは小さいですけど
形は似ているとこ、押さえてありますから」
「今日?」
「いえ、明日で大丈夫です
また、連絡しますから」
健太は思った
めんどくせぇ~ヤツに捕まっちまったな~って