結婚後、私は小さな出版社の編集者になります。
医療の〝裏側〟を取材して、記事を書いていました。
そのころ、「自宅出産」を知り、興味を持ちます。
助産師さんに来てもらって、
家でお産をする人がいるんですね。
〈いつもの家具に囲まれてお産ができたら、楽しいだろうな〉
想像すると、ワクワクします。
夢が膨らんで、一人目を家で産むことにしました。
パチン!
朝8時過ぎ、突然の破水でお産が始まりました。
慌てて、84歳の助産師さんに電話します。
母がすぐに駆けつけてくれて、
「まだだから大丈夫」と
言ってくれます。
だけど、赤ちゃんが、
メリメリと出てくるのがわかります(笑)
〈ああ、もう生まれそう!〉
助産師さんの到着からわずか5分後に、長男は生まれました。
そんな体験も記事にして、
編集者としての充実した日々を送っていました。
ところが、長女がお腹にいるころ、出版社の経営が傾きます。
社長を残して、メンバーは解散し、私はフリーライターになりました。
「取材して、書く」生活が続きます。
月日は流れて…
長女は小学校4年生になりました。
中学受験を考え始めます。
そんな時、私はギックリ腰を経験します。
スポーツクラブで、スカッシュに挑戦したところ、
グキっときました(涙)
ちょうど2冊目の本を出版して、疲れが溜まっていたようです。
1週間寝込みました。
ずっと走り続けてきたのが、急に立ち止まった感じです…。
これからの人生を考えました。
書く仕事は好きだけど、
社会のお役に立っている実感があまりありません。
〈もっと誰かのお役に立てる仕事がしたいなぁ〉
聴くことが好きなので、
臨床心理士になることにしました。
医療の「現場の人」になりたかったんです。
ただ、大学院で勉強しないと資格試験が受けられません。
ママ友に話すと、
「〇〇ちゃん(長女)の受験はどうするの?落ちるよ」
と言われました。
思春期に差しかかった長女は、
母が受験勉強に必死になっていたので、
寂しかったのでしょう。
「おばさんが勉強したって、仕方ないやん」と、
子憎らしいことを言います(笑)
その時の私は、大学院入試の過去問が2割しか解けない受験生だったので、
その言葉をまともに受け止めてしまいます。
一人になると、泣けてきました。
【次回に続きます】