今、日本では、子どもの基礎的学力の低下が問題になっています。
それも大きな問題ですが、「わが子」の学力が、ご両親にとっては、最大の心配事でしょう。
母親は亡くなり、父親は体が悪く、12歳で出稼ぎに行ったカンボジアの少女が、20歳で亡くなる時の最後の言葉「学校っていうところに行って、勉強っていうものをしてみたかった」と言ったように、子どもは本来「学ぼう」「伸びよう」という意欲を持っているものです。
今は、勉強しようと思えば、いくらでも勉強できる環境にあるのに、本当にもったいない気がします。
要は子どもの「やる気」を、どう引き出すかです。
「勉強しなさい」と一方的に言っても、子どもは反発することが多いのが実情です。
特に子供は「~しなさい」といった命令調の言葉が嫌いなのです。
ご両親にしても、自分の子ども時代を振り返れば、そんなに「勉強しなさい」とは言えないはずでしょう。
「勉強できる」からといって、「幸福になる」とは限らない。「いい学校を出た」からといって「立派な人間」とは限らない。この当たり前のことを、皆、忘れています。
それを混同するから、多くの問題も生まれているのです。
「人間の偉さは」と「成績」は関係ありません。
ではなぜ、勉強するのか。
「知は力なり」です。勉強は、自分に力をつけるためにするのです。
「人生に勝つため」に学ぶのです。
その力で社会に貢献するのです。
勉強していないと、将来、いざという時に、力を発揮できません。
夢を持った時に、夢が実現できません。
どんな世界であれ、勉強と努力なくして一流にはなれません。
華やかに見えるスポーツや、音楽といった世界でも同じです。
もちろん、学校の勉強だけが、勉強ではありません。
人それぞれ、得意や不得意もあります。
しかし「学ぼう」「勉強しよう」という心を持ち続行けることが大切です。
「勉強できる人」が偉いのではありません。
「勉強しようという心」を持ち続ける人こそ偉いのです。
ですから、ご両親は、子どもの成績に一喜一憂するよりも、子どもの「学ぼうとする心」を引き出し、讃えてください。
「お前はだめだ」とか「どうして、こんなことも分からないの」などと絶対に言ってはいけません。
大事なのは、「やる気」を引き出すこと、「やれば出来る」という自信をつけさせることです。
「押しつけ」てはいけません。「引き出す」のです。
「命令」はいけません。「励ます」のです。