2つの「ため」の使い分け | わかば国語・作文教室

桃太郎のお話で、こんな問題があったとします。

【問:桃太郎は何のために鬼が島へ行ったのですか。】

正しい答えは、

○【答:鬼を退治するため。】

です。しかし、こんな解答をよく見かけます。


×【答:村人たちが困っていたため。】


「何のため」と聞かれたから「~~ため」で答えたのに、
なぜ間違いなの?と不満そうなお子さん。

あなたならどう説明しますか?


私はこんな例文を使って説明します。

(1)
王子様はシンデレラを見つけるため
ガラスの靴を国中の女性にはかせた。

(2)
ガラスの靴がシンデレラにぴったりだったため
継母(ままはは)たちはとてもくやしがった。


普段何気なく使っている「ため」の二つの用法。
改めて併記されるとその違いに気付きませんか。

(1)は『目的』をあらわす「ため」
(2)は『原因』をあらわす「ため」
です。

文法的に判断するには、
「ため」を「ので」で言い換えてみましょう。

(1)目的の「ため」→「ので」で言い換えできない
(2)原因の「ため」→「ので」で言い換えできる

です。


(1)王子様はシンデレラを見つけるので
ガラスの靴を国中の女性にはかせた。
→変ですね

(2)ガラスの靴がシンデレラにぴったりだったので
継母(ままはは)たちはとてもくやしがった。
→意味を変えずに言い換えられました



この二つの使い分けがうまくできないと、
作文をしていて因果関係がなんだかおかしかったり、
冒頭のような記述問題での間違いが起きたりするのです。


記述の問題で「何のために○○したのですか」
と訊かれる場合は、十中八九『目的』
をきかれています。
自分の書いた解答の「ため」が、
「ので」で言い換えができたら間違いの可能性が高いので
考えなおしましょう。

(原因を訊きたいときは「なぜ○○したのですか」
 という問いになります。その場合は「~~から。」
 という文末で答えましょう。)


国語は論理です。文法です。
数学で公式を学ぶように
国語のルールを学べば、
きっと一生役に立つ知識になりますよ。

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