夏休み明けは不登校の始まりにも繋がりやすく、ハラハラしている親御さんも多いことと思います。


「学校に行きたくない!」

と言われたときに親御さんの頭に浮かぶのは、正直なところ

「何とかして学校に行かせたい」

という思いではないでしょうか。


でも、まずは何故学校に行きたくないのか、子どもの気持ちを十分に聴いてあげてください。

そして、解決を急がないことが大切です。


もちろん、不登校が明らかに外的要因によるもの(例えばイジメや教員からの暴言など)であれば、早々に対策を講じることで不登校から脱することが可能な場合も多いです。


でも、子どもの内的な要因が関係している可能性がある場合・・・例えば

「人目が気になるから学校は嫌」

「何となく不安」

「学校に行こうとすると腹痛や吐き気がする」

「外に出るのが怖い」

「体が重くて朝起き上がれない」

といった言葉がきかれる場合は、子どもが何らかの要因により長期的に不安や緊張にさらされてきたことで自己肯定感が育っていなかったり、周りが皆敵であるかのような恐怖感を抱いている可能性があります


また、周囲の人に対してアンテナを張り巡らせて気を遣い過ぎてしまうとか、人がたくさんいるというシチュエーション自体が苦手、といった特性がある場合、それを克服できる子もいれば、克服が難しい子もいます(発達障害のような先天的な障害がある場合など)。


最近不登校の原因としてよく取り上げられている「起立性調整障害」は、自律神経の問題、内科的な問題のように捉えられがちですが、背後には心理的、精神的な問題が隠れていることがほとんどです。その為、内科的なアプローチだけでなく、子どもの心の声に耳を傾けることも不可欠なのですが、心の声から目を背けてしまうと、解決までに長い時間を要してしまいます。


いずれにしても、時間をかけて顕在化した問題を短期間で解決しようとすると、子どもは親の期待に応えて頑張ろうとするか、逆に心を閉ざしてしまい、その結果不安や緊張がより増大し、問題がこじれていく可能性が高いのです

 

実際に

「短期間で解決したい」

という親の想いとは裏腹に、不登校の問題は、解決までに年単位の期間を要していることが多いそうです。


ですので、頑張れば早期解決も可能!などと急ぐことなく、親は腹をくくって

今こそしっかり子どもと向き合うための重要な時間

と捉えて、子どもの心にゆったりと寄り添ってあげてください。


ちなみに、不登校は悪いことではありません。


色々な子どもがいて、学校に行ける子もいれば、学校が安心できない子もいます。


できればまた学校に通えるようになりたいと思う子もいれば、もう学校には絶対に行きたくない、という子もいるのです。


子どもが「学校に行きたくない」と言ったら、それは、子どもの心に親子でじっくり向き合う必要があるということを意味しているのだと捉えて下さい。

 

また、不登校というネガティブなイメージに囚われず、次の一歩を踏み出す好機にしましょう。


そのためには何より子どもの自己肯定感を高めること」が大切です。


では、自己肯定感を高めるにはどうしたら良いでしょうか。

  1. 子どもの得意なことを見つける
  2. 子どもが苦手なことや失敗しそうなことでも、時には敢えて挑戦させる 

この2点を意識して子どもと関わり続けることが、自己肯定感を高めることにつながります。


2については、自己肯定感とは関係ないように思われるかもしれませんが、せっかく自己肯定感が育っていても、順風満帆過ぎる経験しかしていないと、いざ社会に出たときに誰もが必ず経験するはずの「失敗体験」に耐えることができなくなってしまうのです。

 

まず1についてですが、誰にでも1つは、人並みかそれ以上に得意なものがあるはずです。

子どもが小さい頃から子どもの得意なことを探し、得意なことを伸ばせる環境に近づけてあげることが大切です。

 

もちろん、年齢と共に得意なことが変わっていったり、苦手なことがいつの間にか得意になっていることもあります。

そういう子どもの変化を追いながら、

「うちの子は〇〇が得意かもしれない」

と感じた時には、子どもの「得意」を伸ばせそうな環境を作ってあげてください。

 

例えば、うちの次男(小5)は幼い頃から手先が割と器用でした。

上着のファスナーの開け閉めも、誰にも教えられることなく勝手に自分でやっていました。

手袋をするときも、一つの指のところに二つの指が入ってしまわないよう、手を広げながら上手に手をいれていました。

小学校に入ってからは、とにかく工作の時間を楽しみにするようになりました。

そこで、折り紙や段ボール、お絵描き帳、スケッチブック、色鉛筆やポスターカラー、クーピーなどは、子どもがすぐ手にできるところに置いておくようにしました。


今では、折り紙を20枚くらい使って色々なポケモンを作ったり、段ボールでドラえもんの秘密道具を作ったり、ポケモンカードとそっくりに繊細な絵が描かれたカードを作ったり・・・、家にいる時間の多くを「作業」に費やすようになりました。


特に折り紙に関しては、相当難しい折り方も、何度も動画を見ながら練習して、複雑な形のものも難なく折れるようになりました。


引っ込み思案で自分からは友達に話しかけられないという自分の特性もよく分かっているため、折り紙を学校に持って行って、作品を友達に見せることで、友達を作るきっかけづくりにもしていました。

自分でも、折り紙だけは、大抵の同級生より上手だという自負があるようで、私にも、作品ができる度に、「どうだ!」と言わんばかりの顔で見せてくれます。

 

ここで大切なのは、子どもが得意とするものについて、将来役に立つ・立たないという視点で判断しないことです

折り紙で生計を維持していくことは難しいでしょうが、折り紙を折っている時の自分に自信を持てていることが大切なのです。

そして、得意なことを使って苦手(友達作り)を克服しようとする「応用」までしている点については、

「本当にすごいね!」

と心から賞賛の言葉を贈りましたニコニコ


とはいえいまだに友達づくりには苦戦しているようなのですが、2学期早々

やっぱり学校があった方が楽しいね!」

と言っていた次男は、友達は少なくても、それ以外のところに自分の存在価値を見出しているのだと思います。


 ちなみに次男がスイミングを習い始めたとき(小2のとき)は、誰よりも覚えが悪く、酷い有り様でしたガーン

運動全般が苦手で、そもそも水が怖く、顔を水につけるのもやっと・・・という状況でスイミングに行かせましたので、泳げるようになることよりも、顔に水がかからないことを最優先に行動しているのが見て取れました驚き


子どもには申し訳ないのですが、スイミングに関しては、「習った方が良い」という私のエゴで習わせた部分が大きいです。


自分も姉も、子どもの頃に泳げず恥ずかしい思いをした経験がありましたし、泳げることが何かの助けになることもあるかもしれない、との思いから、一応本人も(渋々)納得の上で習わせ始めたという経緯があります。


ですので、どうしても嫌がるようであれば、辞めさせることも考えていましたが、辞めるほど嫌がることまではなかったので、習わせ続けてしまいましたてへぺろ

でも、他のお友達はどんどんテストに合格して級が上がっていくのに、次男だけはなかなか合格できず停滞している状態が続き、テストの後はがっかりした顔で帰ってくることが増えていきましたショボーン

そこで本人と相談して、スイミングに通う頻度を週1から週2に増やしたところ、想像以上に習得が早くなり、毎回のようにテストに合格できるようになり、今では同じ学年のお友達を全員抜かしてしまいました(と言っても小さいスイミングスクールの中での話ですがあせる)。


他の運動はことごとく苦手なので、水泳だけでも「得意」と言えるものができたことは、本人の自信にもつながったようです。「苦手」が「得意」に変わった例かと思います。


 ただ、スイミングはたまたま上手くいった例に過ぎず、実は次男はすぐに「無理~!」と投げ出すタイプなのですネガティブ

ちょっと大変そうだな・・・と思うと「無理無理!」と言ってやらないことがしばしば・・・真顔

「無理」が口癖かと思えるほど、一時期は何かにつけて「無理無理」と言っていました無気力


ただ、子どものうちは「無理!」と言って逃げることができても、大人になると、「嫌でもやらざるを得ないこと」が出てきてしまいます。

私の勤務先の若い社員の中にも、嫌なことから逃げることで対処してきた人がちらほらいますが、そのほとんどの人がメンタル不調に陥り、休職や退職に至っています。

決して自己肯定感が低い人たちではない、むしろ自分の全てを肯定してきたかのような人が多いのですが、だからこそ、自分が「できない」ことを思い知らされる場面に直面すると、自分にできないことがあるという事実を受け止めきれず、職場から逃げるように休職してしまうのです。

 

私が思う「学校に行くこと」のメリットとして一番大きいのは、嫌なこと、苦手なことでもある程度我慢してやらなければならない、ということを学べる場だということです(もちろん、学校に行っていなくても学べる場はいくらでもありますが)

今は、親の方が率先して、子どもが嫌がること・失敗しそうなことを回避してあげてしまう傾向があると思います。

でも、嫌なことでも、まずはやるだけやってみようよ、と後押ししてあげることや、

失敗することが分かっていても、それを止めるのではなく、失敗したときに、その経験をこれからどう活かすかを親子で一緒に考えることがとても大事だと思います。

 

嫌々ながらも乗り切ってきた経験、失敗を次に活かしてきた経験があれば、そう簡単に潰れませんし、一時的に落ち込んでも、立ち上がる力もついているはずです。


ただ、自分にとって嫌な体験をポジティブなこととして捉えなおすには、どうしても親の助けが不可欠です。


「嫌なことなのに頑張ったね」

「チャレンジしたことに意味があると思うよ」

「今回は失敗したけれど、こういうところに気を付ければ失敗は少なくなっていくと思うよ」


そういった子どもとのやりとりの中で、子どもは完璧ではない自分にOKを出し、苦手ながらも頑張った自分を誇れるようになっていきます

そうして初めて、得意なことが1つだけで苦手なことがいっぱいある自分のことも

「肯定」できるようになるのです。

 

不登校が悪いとは全く思いません。

色々な道があっていいと思います。

実際、不登校になったからこそ、その後の人生が豊かで実り多いものになった人もたくさんいますおねがい

今はフリースクールや通信制の学校も充実していますので、不登校をきっかけに選択肢の幅が広がった!という人もたくさんいるでしょう。


逆に、不登校にはならなかったのに、社会に出てから引きこもらざるを得なくなった人もたくさんいます。


結局のところ、大人になってしまえば

「不登校だったかどうか」

はどうでもいい

のです。


◆子どもの「得意」を見つけること

◆子どもにとって嫌なことや苦手なことにも敢えて挑戦させ、上手く行かなかった時には、その挑戦がいかに勇気あるものだったかを子どもに伝えてあげること

 この2点を大切にすることで、子どもは自分の人生を切り開く力を養うことができると思います。人生を切り開く力さえ身に付けられれば、不登校かどうかはどうでもいいことです。

今日からぜひ、子どもの「得意」を探してあげてくださいニコニコ


親が子どものポジティブな面を見つけてあげようとする、その気持ちだけでも、子どもにとって良い変化がみられていくと思いますよウインク


ちなみに、不登校であっても、最低限の学習の機会だけはお子さんに与えてあげて下さい。

いくら得意なことがあっても、将来何かしらの仕事をする時に、読み書き、簡単な計算くらいは必要になります。

可能なら義務教育レベルの学習をしておけるとなお良いでしょう。

将来使わない知識であっても、知っていることが多い分には損はしません。


また、対人恐怖や外出への恐怖がある場合は、なるべく早めに心療内科を受診されることをお勧めします。

人や外出に恐怖があるのに受診なんて・・・と思われるかもしれません。

ただ、早期治療は早期回復につながることが多いですし、受診は外界との繋がりを保持する役割もあります。

家族の付き添いがあれば受診できることも多いです。どういう条件なら受診できそうか、お子さんと相談してみて下さい。

「お母さんと一緒なら、車で10分程度のところなら行けそう」など、行動可能な範囲があるはずです。

どうしても受診が難しい場合は、地域の保健センターの保健師さんに相談してみて下さい。


また、ある一定期間自宅に籠もって生活することが心の回復につながることも少なくありません。

でも、引きこもる期間が長引きすぎると、今度は外に出ていくことへのハードルが高くなってしまうことが多いです。

生活リズムも崩れがちになり、体力も筋肉も衰えていきます。

「引きこもり生活」の中にも、散歩やサイクリング、ちょっとした買い物など、「外界」との接触の時間を設けるようにしてください。


ちなみに個々人によって異なるのですが、引きこもり期間は半年〜2年程度までにした方が良いように思われます(あくまでも、これまでのクライアントさんとの関わりから感じた印象ですが)。


ともかく、不登校になっても、

何かしらの形で外の世界と関わり続けて、

自分なりに誇れるものを見つけて、

日常生活を送るのに必要な体力を維持できていれば、

大人になって社会に出ていくとき、子どもの頃に不登校だったか、不登校じゃなかったかなんて、大きな問題ではないのです照れ