最近は、虐待の話を聞くことが多くなりました。


私が受け持ったケースでは、父親から娘への虐待が一番多いのですが、

「母親は私が父親から虐待を受けているのを見ていたのに(知っていたのに)助けてくれなかった」

と話し、母親に対して複雑な感情を抱いている人が少なくありません。


大きくなってから、母親に

「何故あのとき助けてくれなかったの?」

と聞くと、

だって、そんなことしたらお母さんがやられちゃうでしょと平然と答えたり、

お母さんは何も知らない」を押し通すという2パターンが多く、

子どもは母親の言葉でさらなる傷を負うのです。

 

性的な虐待を受けた子どもは、母親から

「誰にも言っちゃダメ!お前がそんなことを口にしたら、お前の方が気が狂ってるって思われるから絶対外では言うんじゃないよ!

などと口止めされていることが多く、何十年も虐待の事実を自分の心の中だけに閉じ込めて苦しんできたという人もいます。

 

虐待をした父親に対しては、殺したいくらいの憎悪を抱くことが少なくありませんが、見て見ぬふりをしていた母親に対しては、何故か

「母親も父親が怖かったのだろうし、許してあげなければいけないのではないか。母親を許せない自分は悪い人間なのではないか

と、母親を悪者に仕切れないどころか、自分自身を責める人さえいます。

 

でも、たとえ自分が殺されてでも子どもを守ろうとするのが「母親」だと思います。


子どもを見殺しにすることの方が生き地獄だと思うのが「母親」だと思います。


いざという時に子どもを守る自信がないのであれば、母になるという選択肢は持たない方が良いと思います。

 

もちろん、子どもが虐待されているのを見て見ぬふりをした自分を許せず、後々精神疾患を発症する母親もいます。


力では絶対に太刀打ちできないことが分かっている相手に立ち向かっていくのは、たとえ子どもを守るためであっても、そう簡単なことではないのかもしれません。

 

ただ、自分の夫が、家族に危害を加え得る人間だと分かったら、その時点ですぐに逃げることはできると思うのです。


母子生活支援施設のように、夫に自分たちの居場所がわからないようにしながら暮らせる場所もあります。


ちなみに私が母子生活支援施設に勤務していたときに、

「夫の娘に対する性的なイタズラが多くなってきたので、夫と大喧嘩した挙げ句、夫のなけなしの前髪を全部引っこ抜いて逃げてきました!

という逞しい(!?)お母さんもいました驚き


どうしても夫から離れたくない気持ちが強いなら、せめて子どもだけでも安全な場に連れて行ってあげてください。


自分の安全のために子どもを傍に置いておきたいという発想が浮かぶようであれば、あなた自身が既に加害者になりかけていますので、お子さんを連れて警察なり、児童相談所なりにかけこんでください。


子どもを犠牲にすることへの抵抗がない場合は、あなた自身が相当精神を病んでいると考えられますので、一刻も早く警察に相談に行くとともに心療内科を受診してください

 



カウンセリングでは、初めから被虐待経験について語る人もいれば、カウンセリング5目にしてようやく被虐待経験について語る人など、さまざまです。

また、カウンセリングが進む中で、すっかり記憶から消されていたはずの被虐待経験を思い出す方もいます。

 

辛いことを無理をしてまで思い出す必要はありません。


話したくないことを無理をしてまで話す必要はありません。


でも、もし話すことで少しでも気持ちが楽になれそうな、救われそうな気がしたときは、話したいと思う相手に話してください。


話したいと思う相手が、自分の体験を受け止めてくれるかどうか不安だったら、まずはカウンセリングで話してみてください。

 

虐待にあわれた方は、カウンセリングの時に、

自分ほどひどい人生を歩んできた人はいないと思います

と皆さんもれなくおっしゃいます。


虐待にあわれた方お一人お一人が、それだけ壮絶な体験をし、大きな傷を負っているということだと思います。

 

子どもの頃はずっと腕を折り曲げられた状態で縛られていました」


「手の甲の切り傷の跡が、いつの怪我か全然思い出せずにいたのに、数日前に急に、母に切られている場面が頭に蘇えりました」


「父は毎日私を殴り続けました。私がトイレに入っている時でも、殴りたい欲求が高まると、トイレの戸を壊してまで入ってきて私を引きずり出し、殴ってきました」


「体が痣だらけなのを心配した幼稚園の園長が、母親を問い詰めてくれたんです。でも母親は、『お前が上手く言い訳しないから、私が園長に怒られちゃったじゃない』って言って・・・、その時は自分が悪いんだ・・・と思いました」


・・・・・・。

 

こんなことを子どもにする人が正しいと思いますか?

 

虐待してしまっている人

虐待しそうな人

虐待されている人


どうか、今の状況がひどくならないうちに、どこかに助けを求めてください。

警察、児相、保健センター、病院・・・、ご自身が相談しやすいと思うところならどこでもいいです。

 

あなたは虐待されるために生まれてきたわけではありません。


もし虐待されているとしても、あなたが悪いのではなく、

虐待している人が100%悪いのです。

親に口止めされていたとしたら、

その親が間違っています。

あなたには、言いたいことを言う権利があるのです。

 

あなたの人生はこれからです。

親ではなく、自分の人生を大切にしてください。

 

女性、子ども、老人、動物・・・

自分よりも弱い相手を力で押さえ込むという発想はとても怖いと思います。

 

「いじめ」も虐待と似ているところが沢山あります。

いじめる側が100%悪いにも関わらず、いじめられる側が肩身の狭い思いをしている現実がいたるところでみられます。

いじめる側の心の問題は扱われず、いじめられる側が健康な精神を病んでいく・・・

そんなおかしいことが普通に起こっているのです。

 

次回は「いじめ」と「不登校」について触れたいと思います。

 

長文を読んでくださりありがとうございました ニコニコ