記憶のプレゼント。
穏やかな陽射しが注いでいたある日の昼下がり、実家の縁側で私の両親と妻と子供達で過ごしました。
実家が近いとこういう時間を作れるのが嬉しいですね。
私の幼少期の話になり、今の私の次男(4才)や長女(2才)と同じ頃の出来事を久しぶりに思い出しました。
当時私の父は大手スーパーマーケットで鮮魚部門の仕入れを担当していて、店頭販売で近所の店に立つ時などは母に手を引かれてワクワクしながら父に会いに行ったものでした。
幼い私の眼に、働く父はなんだかとても格好よく見えたものです。
「そういえば」と父が笑い出しました。
そのスーパーの向かい側にあったドーナツ屋さんの店先にはソフトクリームの置き物があったのですが、私が「それに抱き付いてベロベロ舐め回してた」というのです。
なぜか私(ソフトクリームの置き物の舌触り)は知っているので、きっとその時に学んだのではないかと思います。
いや笑ってないで止めてください当時の両親よ、免疫力の英才教育ですか。
話していてふと気が付きました。
考えてみたらコレって40年以上も前の出来事なんです。
嫌な記憶で心が折れてしまわないように、人間には心の健康を保つ目的で 忘れる という【能力】が備わっているそうです。
幸せな記憶にも作用してしまうその能力の影響を私の両親は40年以上もかわし続け、今でも忘れずに憶えていてくれた。
そのことが本当に嬉しかったです。
思いがけず両親からもらった、記憶のプレゼントでした。
私もいずれ自分の家族に記憶をプレゼント出来るように、幸せな思い出は何度も反芻しておくことにします。