小学3年生の時、それまで学校に勤務する調理師の皆さんが作ってくれていた給食がすべて給食センターで作られるようになった。味が薄い、冷めている、最初は不評だった。市や給食センターも様々な意見に応えるべく毎年様々な献立を考え、給食もおいしくなっていった。今の給食も自分たちが食べていたころ以上に成長しているだろう。だが、この改革で失ってしまったものもある。例えば、昨日まであった調理場とか…調理場も作っている職員も工程も間近に見ることができない次世代の子供たちは、どのような思いで「いただきます」と手を合わせているのだろうか。

 

 こんばんは。母が幼稚園の用務員を務めていて、今朝は幼稚園児の給食の話で盛り上がっていました。話の中で自分の学生時代のことも振り返っていたら、今の子供たちは調理場を見れずもったいないなと思う反面、慣れてしまえばそれまでなのかという寂しさも感じながら前節を書きました。でも、同じような寂しさや慣れというものが野球にも迫ってきているんですよね。それこそが、今日のテーマであるリプレイ検証と審判の権威です。


 リプレイ検証は野球に限らず様々なスポーツで導入されています。検証を要求できる人、使用する映像、回数などなど、方法や技術はさまざまです。日本プロ野球を例に挙げると、リプレイ検証が導入されたのは2010年で当時はホームラン性の打球に限り、なおかつ審判員の判断で適用されていました。判定が変更されたり変更されなかったり、ときにリプレイ検証がトラブルを拡大させたり…。その後、フェンス際のダイレクト捕球、本塁周辺のプレーなど適用範囲が少しずつ広がり、2018年シーズンから監督が要求できる「リクエスト」が始まりました。すでに2シーズンが終わり、どちらも約30%の判定が変更となっています。

 リプレイ検証に関しては賛否両論あります。「審判員のミスがチームの勝敗や個人の成績に直結するからすべて機械化するべき」「人間の試合を人間が裁くことに意義がある」などなど。しかし、こうした発言(特に機械化に賛成派)の中には先人や現役の選手・審判の努力や苦労を知らないものが多いなと感じます。少なくとも、心の美しさは感じられない。どうしても悪い印象が記憶に残ってしまうのが人間ですから気持ちも分からなくもないですが、審判側だって「ストライクしか投げないピッチングマシンにすればよい」と言いたくなるくらい投手が荒れることもあります。前回も書かせていただいたように、審判員は試合を作り上げるれっきとしたチームです。チームがいなければ試合になりません。ではリプレイ検証を排除するべきかとなるとまた話が変わってきます。とあるプロ野球審判員がメディアの取材に対しこのように述べられています。

 

「覆すわけだから悔しくて悔しくて眠らない日になるが、そのことを引きずらなくていい。リクエストによって助けられることも正直ある」

 

人間はミスもしますが日々成長もします。リプレイ検証により審判技術が向上したりトラウマが解消されたりとメリットもあります。つまり、使い方さえ間違えなければ最高のテクノロジーとなるわけです。しかも、リプレイ検証をもっとも恐れているであろう審判員からこのような言葉が出たことに、人間力の高さを感じました。謙虚に自分を分析し、そして下ではなく前を見る。プロ野球審判員は審判技術も人間的品格もすべてが美しいと改めて感じました。しかし、仮にグラウンドから審判員が消えたとして、最初は違和感を覚えるかもしれないが、数年後には何一つ驚かなくなる…という可能性も0ではない。審判員の存在意義は善悪だけで判断されるものではありません。野球の原点、そして時代の変化と真摯に向き合い、お互い成長していくことが自分たちにできる最大限の努力だと思います。

 このテクノロジー、今回も乃木坂46関連で例えてみると握手券ではないかと思います。握手券は乃木坂46のメンバーと会うことができるツールです。シングルの初回限定版CDに特典として入っていて、ファンの自分たちはまずはCDを購入しそこから握手会に足を運ぶわけです。でも、その握手券とCDのパワーバランスはファンそれぞれ異なります。転売や廃棄など本来とは異なる道へ進んでしまうケースを自分は何度か目撃してきました。実際自分も、まだ乃木坂46も全然分からないときに若月さんの握手会に参加して、友人に握手券を数枚譲っていただいたことがあります。当時は嬉しかったですが、今となっては友人のご厚意とはいえ申し訳なかったと思うこともあります。しかし、これも白黒したくてもできないことですよね。ファンにも楽しみ方がある、運営サイドにも販売戦略がある、メンバー・運営・ファンという三者がそろって初めて会場がひとつになる。人間の欲望は無限大です。色々出てきます。すべてを満たすことはできなくても、時間をかけてでも前へ進むことが大切ですよね。

 

 次回は、1人のプロ野球審判員を紹介させていただきます。若月さんと同じ静岡出身で、きれいなルックスと審判技術を兼ね備えた、若月さんと同じくらいあこがれの人物です。

 


 


2020.2.29

@Waka_respect_bu