歌集『生殖の海』第4章【後編】 | わたる風よりにほふマルボロ

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及ばぬ高き姿を体現する

子宮系歌人 梶間和歌です。

 

 

先週日曜の記事の流れで、

歌集『生殖の海』第4章を

昨日からご紹介しております。

 

【前編】はこちら。

 

 

 

梶間和歌歌集 『生殖の海』

第四章 明けぬ夜の闇

――(くら)きより冥き道にぞ入りぬべきはるかに照らせ山の()の月 雅致(むすめ)式部

 

 

夢よりもはかなき世に又夢を見る忘られぬ夢のあとを追ふため

 

夢のうちに夢を見る世にあらばあれ又なき夢を見る夢とせむ

 

橘に匂ひをよそへ恋ひられて憂き世をすこし忘れつゝゆく

 

つかの間の夢を見むとす(くら)きより冥きに落つる我がこゝろ(かな)

 

をりを知るなさけにもろ手取り交はし又なき君と入れる迷ひ路

 

ひたぶるに君を肌へに刻みつゝもろともに見る夢のはかなさ

 

とく絶ゆるさだめなればやこゝろから恋のかぎりの恋をしにけむ

 

ひとたびに哀しと知りし別れさへよすがにあれば恋しとぞ思ふ

 

ありて別れ君とはあらずなりてとやなべて憂き世の夢とこそいへ

 

さ緑の風に(いだ)かれ君を知りこは()が誰れを待ちに待つ空

 

橘の降りしむる夜に死出の山を越え()よ君は山ほとゝぎす

 

我れのみやせむと問ひける古言をみづぐきの跡ゝ綴るうつせみ

 

夢ならで又は見るべき君も(がな)さらば憂き世に強ひて生かまし

 

そのことゝ覚ゆるをりもありせばとつらきまで君はあはれなりけり

 

恨むべき何かはありし恋ひ恋ひて憂き世にいまは消えぬ泡沫(うたかた)

 

夢にだに紛れぬ身こそかなしけれうつゝともなく暮るゝ憂き世に

 

人かはとおどろかれぬるこゝろもて生きて夜を経てまだ夢を見る

 

つれなさを我れに求むる我れなれや恋のかぎりを知らずがほにて

 

憂き世とは言ふも憂き身とえも言はじ君が形見と我れを思へば

 

梅が枝に花かと匂ふ雪積めばをり知りがほにうぐひすぞ鳴く

 

明けぬ夜の闇より闇に迷ひたり行くあてをなみ又や恋する

 

はじめより終へ()を知らぬ夢路なり照らすばかりの月をながめて

 

生きて見るこの世の夢の果ても知らず西にかたぶく月のさやけさ

 

夢よりもはかなき世にてその夢に影のうつろふ花は散りけり

 

 

出典:拾遺和歌集哀傷一三四二

 

 

 

和泉式部の歌の読後感と

建礼門院右京大夫の歌の

読後感は、大変似ています。

 

 

悲しみ全開!!!

悲劇のヒロイン!!!

自分に酔っている!!!

 

でもそんなものを押し売りされても

感動などできないのだよ!!!

 

 

という歌風。

 

 

 

和泉式部の成り代わりなので

当然といえば当然なのですが、

 

和泉式部自身の歌に

ありがちな

悲劇のヒロイン歌風を

結果的にほぼそのまま

トレースすることになっていた

2018年の梶間和歌20首詠。

 

 

これをそのまま

私の大事な大事な歌集に

入れるわけにはゆきません。

 

そのくどさを削ることに

心血を注ぎました。

 

 

和泉式部成り代わりの第4章と

 

建礼門院右京大夫成り代わりの

第8章、この2つは

似た意味で推敲に苦労しました。

 

 

 

もしも和泉式部が、

もしも建礼門院右京大夫が、

 

定家の美学、

つまり私も追っている

この厳しい美学を

持っていたならば。

 

“もしもそうだったならば

 詠んだだろう歌”を

私が代わりに詠む。

 

 

彼女らに成り代わる時、私は

いつもそういうつもりでいます。

 

 

 

和泉式部の本質の一部は

和泉式部の残した歌の数々に

表れているでしょう。

 

 

ですが、あれらが

和泉式部の詠み得た歌の

唯一の正解である

とは思わない。

 

 

彼女には

もっと良い歌が詠み得た。

 

もしも

不幸にあぐらを欠かなかったら。

 

もしも

新古今時代に生きていたら。

 

だとしたら、きっと

同じ不幸に際して

こんな歌を詠んだはずだ。

 

 

和泉式部が詠んだ以上に

和泉式部らしい歌

私が代わりに詠む。

 

 

いやしくも偉大な先輩歌人に

挑戦するのですから、

このくらいの覚悟がなければ

いけません。

 

それが

少しは達成されたかしら。

 

 

 

『和泉式部日記』と

『和泉式部続集』は

私はこちらを参考にしています。

 

 

 

もし歌集の第4章を読んで

興味を持たれましたら、

図書館でも手に入ると思うので

ぜひ読んでみてくださいね^^

 

 

歌集ですが、

 

第4章だけでなく全編読みたい、

紙媒体で読みたい、

 

という方はこちらから

よろしくお願いいたします。

 

ご注文やご感想、

心よりお待ちしております。

 

 

【前編】

 

 

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