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おほぞらのゆきげのくもはゝれながらこほりのしたにくもる月かげ

 

源具顕(ともあき)

中院具顕詠百首和歌35

 

 

 

【現代語訳】

大空に浮かんでいた

雪を降らせそうな模様だった

雲は、いつしか晴れて、

それでいながら一方で

地上は雪もよいのまま

水は凍っている。

その氷の下に、曇るように

映り込む月の姿よ。

(訳:梶間和歌)

 
【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

ゆきげ:「雪気」。

 雪を降らせそうな気配、

 雪もよいのこと。

 「雪消・雪解」と書くと別語。

 

月かげ:月の姿。文語の「影」は

 光、また姿を表すことが多い。

 

 

 

まず歌の姿や詞続きに惚れ、

訳そうとして初めて

「雲が晴れながら凍り、

 その下に曇る、

 とはどういうこと? 」

と疑問に思いました。

 

なので凍ったのは雲ではなく

地上の池なり川なり、と解釈し

訳しましたが、どうでしょう。

 

 

まず歌の姿で読者の心をつかむ

というのは、

歌の理想形のひとつ。

 

もちろん、意味も明瞭であれば

なおのこと好かれるでしょうが。

 

 

意味だけ明快で

歌の韻律も構造も幼稚

 

なんて現代短歌のような歌を

心に長く抱き愛誦する、

なんて無理でしょう。

 

 

例えば良経の

見ぬ世までおもひ残さぬながめより昔にかすむ春の明ぼの

風雅和歌集雑上1425

 

これに意味の明快さを求め

「こんな意味の通りにくい歌は

 ダメだ」

などと言う馬鹿者は

いないでしょう。

 

いたとしたら、その人は

芸術というものと相容れない

世界の住人です。

 

ぜひともそちらの世界で生き、

こちらの世界に足を踏み入れないで

いただきたいですね。

 

 

 

現代短歌は

どうにも意味を重視しすぎです。

 

 

若い人の歌の評では

その限りではないようですが……、

 

若い人の歌は、それはそれで

文法の基礎的な部分が

おろそかであることが多いので、

安易に肯定できません。

 

 

そして、若くない

現代短歌業界を構成する大半の

人間の価値観、

こちらは意味に重きを置きすぎ。

 

そのくせ文法も適当で

伝統的な知識なんて雀の涙

というありさま、

 

この人たちにはいったい

文学史上の

どういう存在価値があるのだろう

 

なんて思ってしまうことも

少なくありません。

 

 

 

こちらで紹介したように、

 

「だって和歌は韻律と響きでしょ」

 

これが梶間和歌の基本姿勢。

 

 

歌そのものに華があったり

 

韻律に惹きつけるものがあったり

 

地味ななかにも

凛とした佇まいがあったり、

 

と、魅力的な歌の魅力とは

様々ですが、

 

 

それらの要件を

一定以上満たしていれば

 

意味が多少取りにくくても

気になどなりません。

 

 

あとは私が努力して読み取ります、

間違っていたらごめんなさい、

がんばります、

 

という気持ちになります。

 

 

現代短歌で

そんな気持ちにさせてくれる歌とは、

まあ……なかなか出合えません。

 

そういう感動を期待しては

いけないのだと思います。

 

 

 

「おほぞらの」を含む

「中院具顕詠百首和歌」は

弘安九年閏十二月の詠。

 

弘安九年は1286年ですが、

閏十二月は1287年に当たります。

 

具顕の没年である

弘安十年(1287年)の前年に、

自らの死を思いながら詠んだ

百首歌でした。

 

こちらもご参照ください。

 

 

おほぞらのゆきげのくもはゝれながらこほりのしたにくもる月かげ

 

 

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