藤原俊成 おもかげに | わたる風よりにほふマルボロ

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崇徳院近衛殿にわたらせ給ひて、遠尋山花といふ題を講ぜられ侍りけるによみ侍りける

 

おもかげに花のすがたをさきだてていくへこえきぬ峰の白雲

 

藤原俊成

新勅撰和歌集春上57

 


 
【現代語訳】

 

現実の開花の前に

幻影に花の姿を先立てて、私は

いったい幾重越えてきたのだろう。

峯の白雲のようにかかる

桜の群れの幾重を。

そして、はやるこの心の行方は……。


(訳:梶間和歌)
 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

おもかげ:幻、幻影

 

おもかげに花のすがたをさきだてて:

 実際に咲く前に

 咲いた花の姿を先に行かせて

 

いくへ:「何重の白雲」の意味の

 「いくへ……白雲」に

 「行方」を掛ける。

 

いくへこえきぬ:

 厳密には係り結びで

 「幾重越えきぬる」とすべきか。

 

峰の白雲:峰の白雲を幻視した桜。

桜花さきにけらしなあしひきの山のかひより見ゆる白雲

紀貫之 古今和歌集春上59

 この歌を踏まえ、

 「峰の桜」を「白雲」と見立てることは

 伝統的におこなわれてきたが、

 これを「桜見たさに

 白雲を桜と幻視して

 何重もの桜の雲を越えてきたのか」

 と詠んだ形。

 歌のなかの現実としては

 白雲のことだが、

 作中主体の実感としては

 白雲を桜と見、感じている。

 

 

 

崇徳上皇が

藤原忠通邸に御幸した折

忠通邸で催された歌会での詠、と。

 

年次が特定されていませんが、

康治二年(1143年)

という説はあるそうです。

 

 

峯の桜を白雲に見立てるのは

伝統的な詠み方ですが、

 

桜見たさに白雲を桜と見なす

というのは新しい、

 

……と誰が言ったのだったかなあ。

忘れてしまいました。

どなたかの図書だったと思います。

 

 

「面影に花のすがたを先だてて」

といった発想だとか

さりげない掛詞の使用だとか

 

艶っぽく華やかで

(当時の)当世風のおもむきのある

歌ですね。

 

 

 

鴨長明『無名抄』の

あるエピソードに出てくる歌として

ご存じの方も

おられるかもしれません。

 

 

この「おもかげに」と合わせて

評判のよい

夕されば野辺の秋風身にしみて鶉(うづら)鳴くなり深草の里

藤原俊成 千載和歌集秋上259

とどちらを、

俊成自身が代表作と考えるか、と

いう。

 

人は「おもかげに」を推したが、

俊成自身は「夕されば」が良い

と述べた、という話ですね。

 

 

私はろくに学校に行かなかったので

知りませんでしたが、

 

中学か何かの教科書にも

載っているのですね。

 

 

関係ないですが、そういえば。

 

友人のお嬢さんが先日高校を退学、

留学したのですが、

 

「和歌さんのブログ、

 テスト勉強に読んでいました」

 

と留学前に言ってくれました^^

 

 

私見も多分に入っている

ブログなので

(しかも主張が激しい! )

 

テストで点を取るために

どこまで役に立つかわかりませんが、

 

自分の頭で考えるのが大事とか

流行や人の言い分に流されず

歌対心で対話しなさいとか

 

大きな意味では有意義な

メッセージを伝えているブログ

ではないか、と思います。

 

 

少なくとも、

「学習指導要領の範囲だから

 当然」と思い、または仕方なく、

和歌を教えている先生方よりは、

 

ずっと情熱を傾けて

完璧にではないものの勉強もして

書いている記事ばかりですよ^^

 

 

おもかげに花のすがたをさきだてていくへこえきぬ峰の白雲

 

 

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