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千五百番歌合に

 

きのふより荻の下葉にかよひきて今朝あらはるる秋の初風

 

惟明親王

続千載和歌集秋上344

 
 
 
【現代語訳】
 
昨日より
荻の下葉に通ってきて
いかにも荻の下風らしい音は
立てていたが、
はっきりとそれらしい気配は
まだ見せていなかった、
秋風と呼べない風。
その初風が、立秋の今朝
いよいよその姿を表したよ。
 
(訳:梶間和歌)

 
【本歌、参考歌、本説、語釈】
 
きのふより:
 昨日から、昨日にはすでに
 
荻の下葉:水辺や湿地に群生し、
 秋に黄褐色の穂を出す
 すすきに似た植物。
 秋風に鳴らす葉音が
 秋の情趣を思わせたり、
 恋人の訪れと勘違いさせる
 と歌に詠まれたりする。
 「をぎ」が「招(を)き」に
 通ずることも、恋歌に
 用いられやすい理由のひとつ。
 
初風:その季節の訪れを
 最初に告げる風のことで、
 多く初秋の微風に用いる。

 

 

 

建仁元年(1201年)企画の

「後鳥羽院第三度百首」を

翌年から翌々年にかけて

歌合の形に番え判をした

「千五百番歌合」の一首で、

五百三十番右勝。

 

 

優しげな人となりが、

言葉選びや調べに表れています。

 

 

「荻の下葉」は

秋らしいアイテムであると同時に

恋の風情も思わせるアイテム。

 

「荻の下葉」

「かよひきて」

「あらはるる」

「秋(飽き)

 

などの、恋歌でお約束の語を

恋の文脈ではない

季節の歌に用い、

 

新古今時代らしい美学を

さりげなく打ち出しています。

 

 

どんな歌にも

恋の風情を配置することを

忘れないことは、特に

異母弟にあたる後鳥羽院が

強く持っていた美学ですが、

 

新古今時代のほかの歌人にも

見られた傾向です。

 

 

 

惟明親王は

後鳥羽院の異母兄で、

平家都落ちの際に

皇位を継ぐ可能性のあった

皇子のひとりです。

 

そのあたりについては

こちらもご参照ください。

 

 

きのふより荻の下葉にかよひきて今朝あらはるる秋の初風

 

 

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