西行 郭公 | わたる風よりにほふマルボロ

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題知らず

 

郭公(ほととぎす)ふかき峰より出でにけり外山(とやま)のすそに声の落ち来る

西行
新古今和歌集夏218

 


 
 
【口語訳】

ああ、ほととぎすが深い山の峰から

いま飛び出たのだな。

人里に近い外山の山裾にいる

私のところにも、空より

声の落ち来るのが聞こえるよ。

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 
出でにけり:出たのだなあ。

 「けり」は気づきの助動詞。

 

外山:人里に近い山

 

 

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現代短歌で

こんなうるさい事を言うのは

私ぐらいであろう自信がありますが、

 

主語を示す「の」の述語は

連体形になります。

 

 

「声が落ちてくる」ではなく

「声の落ちてくる(ことよ……)

「声の落ちてくる(その余情が……)

のようなニュアンスである、と

 

いろいろな文章や和歌を

読んだうえで

感覚として私は捉えています。

 

 

「が」だと幼稚だから

「の」にしましょう、

「は」だと強いから「の」にしましょう、

 

なんて簡単に変えられるものでは

ないわけで。

 

 

ちなみに、「は」を受けるのは

基本的に終止形です。

 

「は」は係助詞である

ということも知らない現代歌人は

多いですね。

 

 

郭公ふかき峰より出でにけり外山のすそに声の落ち来る

 

 

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