源通光 秋はたゞ | わたる風よりにほふマルボロ

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千五百番歌合に

 

秋はたゞ荻(をぎ)の葉すぐる風の音に夜深く出づる山のはの月

 

源通光

風雅和歌集秋中589

 


 


【口語訳】
 

秋といったら、ただただ

恋人の訪れと紛う

荻の葉を吹く風の音、

それでも誰も来ぬ夜の更けたころに

ようやく山の端に姿を現す月。

それらの醸し出す、

なんとも表し難い憂愁。


(訳:梶間和歌)
 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

秋はなほ夕まぐれこそただならね荻の上風萩の下露

藤原義孝 和漢朗詠集秋興

 

荻の葉すぐる風の音:荻の葉風は、

 恋人の訪れと

 勘違いさせるものとして

 しばしば恋歌に詠まれる。

 

 

 

入集どおり秋歌として読めばよい

とは思いますが、

 

ほのかな恋心、恨みの心も

背景に踏まえたうえで読むと

なおよいのかな、と感じます。

 

 

秋はたゞ荻(をぎ)の葉すぐる風の音に夜深く出づる山のはの月