藤原定家 わすれつる | わたる風よりにほふマルボロ

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美しい和歌に触れていただきたく。

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『源氏物語』を使った心理学講座。

次回は、朱雀院の人生を観察する

第17回講座、東京とオンラインで

9月14日、22日に開催します。

その後のスケジュールはこちらです。

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二見浦百首 秋廿首

 

わすれつるむかしを見つるゆめを又猶(なほ)おどろかす荻(をぎ)の上風

 

藤原定家

拾遺愚草上132

 


 
【口語訳】

忘れてしまった昔を

ある時思いがけず夢に見て。

再び現実のように思われたその夢を

やはり再び覚ましたのは、

あの人の訪れを思わせる

荻の上風の音だった。

もちろん、それは過去のこと、夢は夢、

あの人の訪れなど、二度と。

(訳:梶間和歌)
 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

おどろかす:目覚めさせる

 

荻の上風:

 荻の上を吹く風、その葉擦れの音。

 恋人の訪れを連想させる。

 

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定家のいとこである藤原公衡の

折しもあれ花たちばなのかをるかな昔を見つる夢の枕に

千載和歌集夏175

との前後関係は未詳とのことです。

 

思いがけないプレゼントを頂きまして^^

なんと正確に

私の好みと必要性を把握した

サプライズでしょう!!

 

 

恋歌の名手といわれる定家、

恋を匂わせた季節の歌も

風情があってうまいですね。

 

主張しすぎない色気。

 

 

二十歳の際の初学百首には

私好みの歌がほとんどなかったのですが、

 

5年後の二見浦百首以降

定家らしさの見える歌が増えていて、

読み進めていておもしろいです。