京極為兼 吹きすてゝ | わたる風よりにほふマルボロ

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荻風を

 

吹きすてゝ過ぎぬる風の名残まで音せぬ荻も秋ぞかなしき

 

京極為兼

風雅和歌集秋上486
 


 
【口語訳】
 

音を立てるだけ立てて吹き捨てて

そのまま過ぎ去ってしまった

風の余韻に至るまで、

葉ずれの音をさせない荻も

秋というのはしみじみと悲しいもので。


(訳:梶間和歌)
 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

吹き捨つる名残までこそ悲しけれ軒端のをぎの秋の夕風

詠み人知らず 玉葉和歌集雑一、1949

 

過ぎぬる:いま過ぎた、過ぎてしまった

 

荻:すすきに似た秋の草の名で、

 秋風にそよいで葉ずれの音を立てる

 とされる。