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夏御歌の中に
うす緑まじるあふちの花みれば面影にたつ春の藤波
永福門院
玉葉和歌集夏301
【口語訳】
薄緑の若葉の混じる
ほの紫の栴檀(せんだん)の花を
見ると、
同じ紫色の、去りし春の
藤波の波立つ面影が我が心に
懐かしく思われてならないよ。
(訳:梶間和歌)
【本歌、参考歌、本説、語釈】
あふち:オウチ。栴檀の古名。
みれば:見ると
たつ:面影に「立つ」の意のほかに、
藤波の波の縁語である
「立つ」を掛ける。
藤波:藤の花房の揺れるさまを
波に見立てた表現。転じて、
藤や藤の花そのものを表す。
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藤は、時代によって
初夏の花として詠まれたり
暮春の花として
詠まれたりしてきたそうです。
私も藤が好きで、東京にいたころは
毎年藤の季節に
あしかがフラワーパークに
通っていましたが。
藤の種類によって、
4月下旬から5月半ばまで
花が楽しめるのですよね。
紫藤に限っても
4月末から5月上旬あたりまでかしら。
ばっちり立夏を挟んでいますね。
この歌では
去りし春を思うよすがとしての
藤、晩春の花としての藤
という詠み方。
初夏の栴檀を見て
暮春の藤を思う着想の歌は
他に例がないとのこと。
楝(栴檀)は万葉の有名な憶良の歌にうたわれ、ついで新古今歌人にわずかに取上げられた程度の、比較的めずらしい歌材である。初夏の花、楝を見て、暮春の花、藤を思うという着想はまことに独特で、頭でたくんだのではない、作者自身も思いもうけぬ連想が心をよぎったのをすかさずとらえた、楽しい歌である。
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「うす緑」という表現も、和歌では
ほとんど例がないようですね。
永福門院は
峯の霞ふもとの草のうすみどり野山をかけて春めきにけり
玉葉和歌集春上84
という
「うす緑」の語を用いた秀歌も
残しています。
通常、和歌では「浅緑」ですね。
『玉葉集』より前の勅撰集では
俊成の
春霞たちにけらしなをしほ山小松が原のうす緑なる
続後撰和歌集春上35
1例だそう。
『玉葉集』でも
この2首を含めた3例のみ、
その後勅撰集入集は
一例もない、と。
これも
岩佐美代子氏の前掲書によります。
この「うす緑……」は私も大好きで、
けふよりはむかふさ緑野べの風あふちの花は夏山のいろ
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