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暁のこころをよめる
暁とつげのまくらをそばだてて聞くもかなしき鐘の音かな
藤原俊成
新古今和歌集雑下、1809
【口語訳】
つげの枕を傾け、耳を澄まして聞く
夜明けを告げる鐘の音。
暁の鐘の音を聞くにつけても、
我が煩悩の果てる気配もない
この人生が悲しくて。
(訳:梶間和歌)
【本歌、参考歌、本説、語釈】
遺愛寺鐘欹枕聴
『白氏文集』巻十六 「香鑪峯下、新卜山居、草堂初成、偶題東壁」「重題」其三 抜粋
さむしろにあやめの枕そばだてて聞くもすずしき時鳥かな
藤原為忠 為忠家後度百首
暁とつげのまくら:「暁と告げ」と
「黄楊(つげ)の枕」を掛ける。
そばだてて:
本説より、枕を傾けること。
耳を澄まして聞くことも掛けるか。
鐘の音:暁を告げる鐘の音から
無明長夜を覚ます鐘の音を連想。
初めて読んだ時には
後朝の別れを嘆く恋の歌だ
と思い込んでいたのですが。
『新古今集』入集は雑歌、それも、
人生を振り返るようなニュアンスで
夕暮れや暁を詠んだ歌の並びに
入っていますね。
俊成のこの「暁と」の次には
式子内親王の
暁のゆふつけ鳥ぞあはれなる長きねぶりを思ふまくらに
新古今和歌集雑下1810
が。
この並びを考えると、とても
恋歌としては読めなくなりますね。
人生の酸いも甘いも味わい尽くした
老境の歌か……と思いきや、
俊成27歳ごろの詠だとか。
堀河題の述懐百首のうちの
一首だそうです。
俊成の述懐百首というと、
世の中よ道こそなけれ思ひ入る山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
千載和歌集雑中、1151
など、私は好きですね。
「世の中よ」にも書きましたが、
30歳手前で
こうした心に沁みる雑の歌を
詠み上げる力量よ。
「かなしき」と言ってしまうのは、
例えば俊成自賛歌である
千載和歌集秋上259
に対して、俊成自身が
「身にしみて」と
言ってしまってはねえ、と
後世反省しています。
「かなしき」は若さゆえの先走り
とでも捉えたらよいか。
なんにしても、27歳で、ねえ。
現代短歌の皆さんに
読ませて差し上げたい。
暁とつげのまくらをそばだてて聞くもかなしき鐘の音かな
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