式子内親王 うき雲の | わたる風よりにほふマルボロ

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うき雲の風にまかする大空の行くへもしらぬはてぞ悲しき

式子内親王
式子内親王集98

 




【口語訳】

浮き雲がその身を風に任せ、

大空を吹きやられてゆく。

雲は散ってしまうのだろうが、

その行方は、その空の果ては。

我が煩悩を風に任せても

その行方、未来は果たして。

いつかは払いきれるのだろうか。

我が身も煩悩も行方の見えない

その果てが悲しい。

(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

わが恋は行方も知らず果てもなし逢ふを限りと思ふばかりぞ
凡河内躬恒 古今和歌集恋二、611


風になびく富士の煙の空に消えて行方も知らぬわが思ひかな
西行 新古今和歌集雑中1613

 

うき雲の風にまかする大空の:

 「行くへもしらぬ」を導く序詞。

 「うき雲」は煩悩を暗示。

 

行くへ:行方。

 「今後の成り行き」の意味も含む。

 

 


初句を「うき雲を」とするものも

あるようです。

その場合の訳は

「浮雲の行方を風に任せる

 大空の……」となりましょうか。



この世のことはすべて夢幻、

と思い切ろうとするものの

果たして思い切れるものだろうか、

煩悩は果てるのだろうか、という。

 

百首歌中では

この「うき雲の」の直前に

見しことも見ぬ行く末もかりそめのまくらにうかぶまぼろしのうち
式子内親王集97

が配置されています。



「行くへもしらぬ」は

式子の愛用語と言われ、

 

しるべせよ跡なきなみに漕ぐ舟の行方も知らぬ八重のしほ風
新古今和歌集恋一、1074

匂ひをば衣手(ころもで)とめつ梅の花行くへもしらぬ春風の声
式子内親王集108

ながめつる遠(をち)の雲居もやよいかに行くへもしらぬ五月雨のそら
式子内親王集128

など複数残っています。


式子の歌に影響を受けた

と思われる歌も

 

わが恋は逢ふを限りの頼みだに行方も知らぬ空の浮雲
源道具 新古今和歌集恋二、1135

下もえに思ひ消えなむけぶりだにあとなき雲のはてぞ悲しき
俊成卿女 新古今和歌集恋二、1081

などが挙げられます。


慈円の

風になびく富士の煙の類にし人の行方は空に知られて

は、式子内親王「うき雲の」と

どちらが先でしょう。

これは調べていないので、

なんとも。

 

 

うき雲の風にまかする大空の行くへもしらぬはてぞ悲しき
 

 

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