式子内親王 見るままに | わたる風よりにほふマルボロ

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百首歌のなかに

見るままに冬は来にけり鴨のゐる入江のみぎは薄氷りつつ

式子内親王
新古今和歌集冬638
 
 
【口語訳】

見る見る冬は訪れたものだなあ。
ふと気づけば鴨のじっとしている入江の水際は
薄く凍りつつもあって。

(訳:梶間和歌)
 
 
みぎは:みぎわ。水際。みずのほとり。
 
 
難解な語も文法もない易しい歌。

それでありながら、

上下句の倒置

それにより生まれる
「見るままに冬は来にけり」
という上2句の勢い

結句の言いさしにより生まれる余韻

薄く凍った入り江の水際を掬い取り描写する
観察眼

味わいたい要素の多い歌ですね。