藤原定家 霜まよふ | わたる風よりにほふマルボロ

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守覚法親王の五十首歌に

 
霜まよふ空にしをれし雁がねのかへるつばさに春雨ぞ降る
 
藤原定家
新古今和歌集春上63
 
 
 
【口語訳】
 
空に霜気が満ち
飛来してきた雁の翼にも
霜が置き迷って見えた晩秋。
あのころ雁は霜に、寒さに
ぐっしょりしおれていたものだ。
その季節は巡り春となり、
雁も北の故郷へと帰ってゆく。
その翼には、あのころと異なり
春雨が優しく降り注いでいる。


(訳:梶間和歌)

 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

月落烏啼霜滿天

唐詩選卷七 楓橋夜泊 張継

 

かささぎの渡せる橋におく霜の白きを見れば夜ぞ更けにける

大伴家持(伝) 新古今和歌集冬620


春霞かすみていにし雁がねは今ぞ啼くなる秋霧のうへに

詠み人知らず 古今和歌集秋上210

 
霜まよふ:「霜置き迷ふ翼」つまり
 霜が置いたかのように見える翼
 の意と、
 「霜まよふ空」
 つまり霜気が空に迷う、漂う
 の意を掛ける。
 
しをれし雁がね:しおれた雁。
 濡れてぐったりした雁。
 「雁がね」はもともと「雁が音」で、
 雁の鳴き声も雁そのものも指す。
 ここでは主に後者だが、
 雁の鳴き声も響いてくるかのような
 語の選択をしている。
 
雁がねのかへるつばさ:
 雁は秋に北から飛来し、春に帰る。
 
 
 
建久九年(1198年)夏、
守覚法親王に召されて詠んだ
五十首歌のうちの一首。
 
 
短歌と俳句の違いについて
しばしばこのように言われます。
 
下の句の七七(14音)があることで
短歌は時間を表現することができる、
 
七七のない俳句は
瞬間を切り取った写真のようである、
 
と。
 
 
晩秋にやって来た雁の翼に
霜が置き迷っていた過去、
 
その雁の翼に
いまは春雨が降り注いでいる。
 
数ヶ月にわたる時間を
5句31音でゆったりと。
 
 
定家の「霜まよふ」は
 
季節の移り変わり、時間というものを
一首に鮮やかに表した
好例ではないでしょうか。
 
 
「つばさに春雨ぞ降る」
なんて優しい捉え方でしょうね。
 
 
 
帰雁」「春雨」というふたつの題を
一首に絡めた例は、定家以前には
なかなか見られないそうです。
 
成功作があるかというと、
言わずもがな。
 
 
人としては問題だらけの定家ですが、
 
和歌史は
日本語は
日本の歴史は
 
定家という天才歌人を得て
決定的に豊かになった
と私は考えますよ。
 
鎌倉時代に定家のいなかった日本
を考えると。さて。

 

 

霜まよふ空にしをれし雁がねのかへるつばさに春雨ぞ降る

 

 

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「現代短歌社賞」応募作8首詠の

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『現代短歌』1月号はこちら

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