宮内卿 花さそふ | わたる風よりにほふマルボロ

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五十首歌奉りし中に、湖上花を

花さそふ比良(ひら)の山風吹きにけり漕ぎ行く舟のあと見ゆるまで

宮内卿
新古今和歌集春下128

 


 
 
【口語訳】

花を散らそうと誘う風が

比良の山から吹き下ろし、琵琶湖を

桜色に染めてしまったのだなあ。

水面を花弁が埋め尽くしている。

その花弁を掻き分ける舟の

漕ぎ行く跡が
はっきりと見えるほどに。

(訳:梶間和歌)
 

 

【本歌、参考歌、本説、語釈】

 

世の中をなににたとへむあさぼらけこぎゆく舟のあとのしら浪

沙弥満誓拾遺和歌集哀傷1327

 

花さそふ:

 花を散らそうと誘うように吹く

 

比良:琵琶湖の西岸に連なる山。

 冬から春にかけて

 この山から琵琶湖に向けて

 激しい風「比良の山風」が

 吹き下ろす。

 

吹きにけり:

 ああ、吹いたのだなあ、

 吹いてしまったのだなあ。

 「けり」は気づきの助動詞で、

 そこから詠嘆の意味を持つ。

 

 

 

建仁元年(1201年)

「仙洞句題五十首」での詠。

 

 

宮内卿の歌といえば

 

理知的、絵画的、

輪郭がかっきりしている、

 

といった特徴がありますね。

 

この「花さそふ」も

いかにも宮内卿という感じの

鮮やかで絵画的な歌だな、と。

 



数年前のこと。


4月の頭に写真家の友人に
桜といっしょに

写真を撮っていただきました。
 

ブログの背景などに使っている

写真は、この時のものです。


代々木公園の桜のいくらかは
葉桜に近くなっていて。


その花弁が噴水の池に散り、
一方の淵に

吹き溜められていました。

 

 

当然、連想するのは

宮内卿ですよね。

この歌について語りましたとも。

和歌には馴染みのない

その友人も

新古今時代のその美学に
感嘆しておりました。

 

 

深く知れば知るほど

深く味わえるのが和歌ですが、

 

和歌の一部は

たくさんの知識がなくとも

「ああ……いいね。わかる」

というものでもある、と思います。

 

 

 

 

花さそふ比良の山風吹きにけり漕ぎ行く舟のあと見ゆるまで

 

 

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