宮内卿 軒しろき | わたる風よりにほふマルボロ

わたる風よりにほふマルボロ

美しい和歌に触れていただきたく。

*:..。o○ ○o。..:*
リーディング短歌書き下ろし

 

LINE公式アカウント(旧LINE@)

おみくじ、占い感覚でどうぞ・*:.。

 

執筆、講義のご依頼はお気軽に・*:.。

キラキラ(執筆関係)

キラキラ(講義関係)

*:..。o○ ○o。..:*



千五百番歌合に

軒しろき月の光に山陰のやみをしたひて行く蛍かな

宮内卿
玉葉和歌集夏403

 


 
 
【口語訳】

軒に白く射し込む明るい月の光に、

やはり暗がりがよいと

山の陰になったあたりの

闇を慕って飛んでゆく蛍だよ。

(訳:梶間和歌)

 
【本歌、参考歌、本説、語釈】  

 

空夜窓閑蛍度後 深更軒白月明初

紀長谷雄 「夜陰に房に帰る」

 

山陰:山かげ。

 「山影」と書くと山の姿だが、

 「山陰」と書くと

 山の陰になったところの意。

 

 

 

初出は「千五百番歌合」。

 

宮内卿は後鳥羽院に見出され、

4年前後と考えられる短い期間に

新古今歌壇で活躍し、

早世した歌人です。

 

 

非常に理知的な歌を詠む人で、

この歌も、作中主体が室内にいて

去ってゆく蛍を眺めている

という設定がはっきりしている。

 

そうした、破綻のない

輪郭のかっきりした叙景が

後世京極派に好まれ

『玉葉集』に採られたのか

と思いきや、

 

漢詩の本説取りなのですね。

なるほど。

 

 

確かに、

観念に生きた新古今時代の歌人が

自然を観察して叙景歌を詠む

ということは考えにくい。

 

まるで目で観察して描いた

叙景かのような歌を

漢詩の本説取りで破綻なく詠む、

 

という、宮内卿の力量でしょうね。

 

 

蛍の歌には

俊成卿女や式子内親王にも

優れたものがありますが、

それぞれ、歌に詠み手の特徴が

よく表れています。

 

秋ちかし雲ゐまでとや行くほたる沢べの水に影のみだるゝ

俊成卿女 風雅和歌集夏390

 

秋風とかりにやつぐる夕暮の雲ちかきまで行く蛍かな

式子内親王 風雅和歌集夏391

 

ちなみにこの2首は『風雅集』中で

並べられているとおり、

モチーフが同じ、

業平の本歌取りですね。


 
軒しろき月の光に山陰のやみをしたひて行く蛍かな

 

 

*:..。o○ ○o。..:*

 

和歌・短歌みくじとして遊べる

LINE公式アカウント(旧LINE@)・*:.。

友だち追加

 

気軽に和歌の楽しめる

Instagramアカウント・*:.。

 

執筆、講義のご依頼はお気軽に・*:.。

キラキラ(執筆関係)

キラキラ(講義関係)