特にその人が間違ったことを言っている訳では勿論無いのだ。

道徳に基づく正論なのだが極論でもあり、それは『口喧嘩』で勝つ為だけの理屈のようにも思えるが間違いでは無い。

『そりゃあそうだろうけど、そこまで言うのもどうかなぁ?』

と言うのが、その人の発言に対する万人の感想なのでは無いだろうか。

四十郎が生理的に受け付けない顔とは、例えば『やく み◯る』っぽい顔の人とか、『やく み◯る』本人のような顔をお持ちの方になる。

それは帽子の有無は特に無関係で、あの目とか尖らせた口元とか、或いは鼻の作りとか顔形とか、要は全体的にダメなのだ。

幸いなことに仕事柄、あの人が出ているTV番組を見なくて済むし、あの人の描く漫画も記憶に残る類いのものではまるで無いだけに、日々の生活に不快な部分や支障を来すと言った事は無い。

ただ、あの顔を全く見なくて済んだり、あの口元から発する声を聞かなくても良いという状態が果てしなく永く続くかと言えばそうでも無い。

最近では朝青龍の電撃引退とか、国母選手の身だしなみ問題辺りで、あの人のコメントが採用され、記事の中にあの人の言葉が混じっていたりする。

酷く個人的なお願いをするなら、漫画家なら漫画で印象付けをされたら如何かと思う。
スポーツ新聞辺りで、いしいひさ◯ちの絵柄によく似た漫画で。
コメンテーターとしてカメラの前に立つ事も副職としてお持ちなのかもしれないが、ならば漫画家という肩書きで出張るのも如何なものかと思う。

国技としての相撲の頂点を極めた男としては、あまりにも品格が無いと言う仰りようは如何にも正しい。

国技であり勝負事でもある相撲の世界に身一つで遥々モンゴルから連れてこられ『朝青龍』の名を戴いた男は、御存知のように日本人ではない。

国技であり且つ勝ち負けが大事な世界でもある相撲で、日本人には持ち得ない身体能力を持ち、最高位を勝ち得た男には誰より勝ちに拘る気持ちが有ったし頂点に座す気概もかなり強かった。
だからこそあそこまで強くもなれたに違いない。

スポーツとして考えれば、それはすこぶる健全な事のように思えるんだが、どうだろうか。

正面から見て『強さ』が映るなら、背中に廻れば『不遜』や『傲岸』を見るものだ。

それが際立つ事を四十郎は悪いとは思わない。
そういうどこか危うい『強さ』が、勝負事で要求される『強さ』のように思えるからだ。
だが、分かりやすい勝ち負けを競うものであると同時に『品格』という分かりにくく曖昧なものも問われるのが、『国技』としての『相撲』らしい。

その競技に参加するのが日本人だけなら、『品格』を言われた時に何となく感覚的に分かるものなのかも知れない。
だが、『朝青龍』を名乗った彼が目指したのは恐らくはスポーツとしてのチャンピオンであり、それを角界では『YOKODUNA』と呼ぶもんだ位の認識だったのでは無いかと思う。

そのギャップが埋まるかと言えば、なかなか難しいようには思う。
『国技』を標榜したいのであれば、そもそも外からの人材を求めるべきではないだろう。
スポーツとしてチャンピオンシップを競うものであるなら、日本人の血に無闇に拘るものでは無いだろう。

その辺りは『自称漫画家』は特に言わない。
言っていたのかも知れないが印象には残されず、厳しい言葉だけにスポットが当てられているのかも知れない。
そういうキャラクターにされているのだろう。
あの顔と風貌ならこんなキャラクターであるべきだと言う制作者側の思惑もあるのかもしれない。

分かりやすいと言う事は、大衆に伝える上では大切な事だからだ。

喋るべきでは無い言葉は、予め編集でチェックされて喋らなかった事になっているのかも知れない。
国技であることに理解を示せと、異国から来た男にとっては無理難題に近い事を云う方が、求められるコメンテーターのキャラとして立つだろうし。

そんな分かりやすい事情はさておき。
四十郎は『朝青龍』が嫌いではない。
あのやんちゃだがどこか憎めない、人たらしな『顔』が良い。

電波に乗せるには些か『品』の無い眼つきをお持ちの、あの『自称漫画家』よりはナンボか好きだ。

20100220