塩糀で「甘味が増すヒミツ」 by  『麹のふしぎな料理力』 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

塩糀で「甘味が増すヒミツ」 by  『麹のふしぎな料理力』

今週は、ずっと、大分の糀屋本店の女将・浅利妙峰さんと、東京農業大学准教授・前橋健二先生の共著『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(東京農大出版会、2012年)をご紹介してきました。

麹のふしぎな料理力


たんぱく質分解酵素の働きと対のようになるのが、デンプン分解酵素の働き。

今日は、そのデンプン(炭水化物)分解酵素の働きについて、『「甘味が増すヒミツ」がさらにわかった』の章を引用して、ご紹介します。

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塩糀にはデンプンを分解し、ブドウ糖を作る酵素が含まれているので、デンプン質素材と塩糀を組み合わせればやさいい甘味が期待できます。

塩糀に含まれるデンプン分解酵素であるα―アミラーゼはデンプンを小さなオリゴ糖にまで分解して甘味を作ります。

ご飯を口の中で噛んでいると次第に甘くなってきますが、これは唾液に含まれるアミラーゼが働いて米デンプンからグルコースが生じたことによります。

また、季節の野菜が甘くておいしいのは、植物細胞内の貯蔵デンプンからアミラーゼの働きでブドウ糖が増えるためです。

また、すりおろいた大根も含まれるアミラーゼが作用して甘味ができます。

塩糀には麹カビがつくったアミラーゼが豊富に含まれています。麹カビがつくるさまざまな酵素のうち、アミラーゼは断トツ最大の生産量です。

ご飯を炊くときにほんの少しの塩糀を入れてアミラーゼを利用すれば、炊いている間にデンプン分解酵素が働いて、炊きあがりのころにはほんのりと甘味がついています。

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グルコースというのは、ブドウ糖のこと。

こちらは、「デンプンからアミラーゼによるグルコースの生成」の図です。

デンプンの分解


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炭水化物の野菜やお米が「わじまの海塩」で甘く感じられるようになる仕組みも、同じ理由ですね。

アミラーゼは、唾液にも多く含まれている酵素。

だから、よく噛んで食べることは、美味しくもなり、消化にもいいんですよ。

「麹のふしぎな料理力」の本の紹介は、今日で終わりにします。

まだ、参考になることが書かれていますし、塩糀のレシピも載っていますので、続きは、実際の本を読んでくださいね。

10月23日(火)には、この本の浅利妙峰さんも参加される発酵の交流会があります。楽しみです。