酵素とタンパク質の分解と美味しさと健康の関係 by 『麹のふしぎな料理力』
大分の糀屋本店の女将・浅利妙峰さんと、東京農業大学准教授・前橋健二先生の共著『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(東京農大出版会、2012年)。
昨日に引き続き、今日は、この本の中の『「うま味が増すヒミツ」もわかった』という章を引用してご紹介します。
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タンパク質分解で生じるのはおいしさだけではありません。
タンパク質がアミノ酸にまで分解される過程で、ペプチドというタンパク質の断片、つまり短いアミノ酸重合物ができますが、ペプチドには抗酸化力や血圧低下作用など、さまざまな健康機能が見つかっています。
たとえば、乳ペプチド、大豆ペプチド、魚肉ペプチドなどはすでに特定保健用食品素材として活用されています。
発酵酸乳では乳酸菌の、みそでは麹カビの、納豆では納豆菌の、魚醤油ではイワシ内臓の、それぞれのプロテアーゼにより素材タンパク質から機能性ペプチドが生まれます。
塩糀には、米たんぱく質由来の機能性ペプチドが含まれていますが、塩糀を魚、大豆製品、乳製品などの食材の下ごしらえに使うことによって、それらの食材でも程度の差はあれ、発酵食品のようにタンパク質分解が起こることが期待されます。
うま味はアミノ酸の味ですが、うま味が高まるということは酵素が働いて栄養や健康機能が高まっている可能性を示すシグナルと捉えることができるのです。
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こちらは、肉タンパク質のプロテアーゼの作用の図です。
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タンパク質が、うま味成分のアミノ酸にまで分解されているので、美味しくて、消化にもやさしいだけでなく、分解段階のペプチドという分子が持つ健康機能も加わるのですね。
酵素のたんぱく質分解の働きについては、ここでも、「塩糀」を酵素の働きを助けるミネラルとしての「わじまの海塩」に置き換えてみていただきたいです。
本当の美味しさとは、舌で感じる美味しさだけでなく、体内にも、健やかな働きかけをすることなのではないでしょうか。
その「美味しさ」を具現するのが「わじまの海塩」です。
「わじまの海塩」は、小さいお子さんに大人気なんです。小さいお子さんは、情報や知識ではなく、本能的に知っているからですね。