塩糀で「うま味が増すヒミツ」 by 『麹のふしぎな料理力』 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

塩糀で「うま味が増すヒミツ」 by 『麹のふしぎな料理力』

一昨日、昨日とご紹介している、大分の糀屋本店の女将・浅利妙峰さんと、東京農業大学准教授・前橋健二先生の共著『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(東京農大出版会、2012年)。

麹のふしぎな料理力


今日は、この本の中の『「うま味が増すヒミツ」もわかった』という章を引用してご紹介します。

たんぱく質分解酵素のプロテアーゼ、ペプチターゼの働きについて、書かれています。

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塩糀に含まれるアミノ酸の量はとくに高いとはいえません。それにもかかわらず、食材を塩糀で漬けると驚くほどうまくなります。

それは、塩糀のアミノ酸が食材によく浸み込むだけでなく、塩糀のプロテアーゼが肉たんぱく質を分解し、さらに塩糀または肉自身が持つペプチターゼの働きにより、アミノ酸やペプチドが増えるためです。

もともと生肉にはプロテアーゼとペプチターゼの両方が含まれているので、肉と塩糀の組み合わせはうま味をアップさせるのに効果的なのです。

肉のなかでも、鶏肉はうま味物質のグルタミン酸をつくるペプチターゼの働きが強いため、その効果が顕著に表れます。

タンパク質を分解する酵素は40℃くらいでよく働き、アミノ酸を作る酵素、ペプチターゼは50℃くらいでよく働きます。

そのため、調理の際、ゆっくり加熱していけば、よりよい効果が期待できます。

うま味を上げるためには、炒めたり焼いたりするより、蒸したり煮たりする料理のほうが、より適しているといえるでしょう。

うま味調味料の成分は純粋なグルタミン酸で、料理に加えると劇的においしくなる魔法の調味料と言われます。

しかし、塩糀でうま味を高めることは、純粋なグルタミン酸を加える効果とはまったく違います。

塩糀の酵素によって、タンパク質が分解すると、グルタミン酸だけでなく、さまざまなアミノ酸が同時に増えます。

アミノ酸の中には、必須アミノ酸と呼ばれる人の栄養上重要なものや、甘味を持つグリシンやアラニン、また苦味を持つロイシンやバリンなど、さまざまあります。

そうしたアミノ酸が一斉に増えることで、調和のとれた自然なうま味が増強され、不思議なほどおいしく感じられるわけです。

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・・・ということですが、実は、私は、この「うま味が増すヒミツ」は、そっくりそのまま「わじまの海塩」に当てはまるなと思っているんです。

一昨日のブログでご紹介したように、塩糀の働きのポイントが、麹菌ではなく、酵素にあるのだとしたら、その酵素の働きを活性化させるミネラル、そのミネラルバランスのよい「わじまの海塩」でも、同じ働きが作用するというのは、ありえることですよね。

「塩糀」と書かれている部分を、「わじまの海塩」に置き換えて読み直してみてください。

塩麹は、麹が生んだ酵素が加わることで、さらにパワーアップするけれど、素材そのものが持っている酵素を活かしていると考えれば、ぴったり当てはまるでしょう?

「わじまの海塩」をお使いになってくださっている方は、実感されると思います。