塩麹作りに適した温度と日数 by 『麹のふしぎな料理力』 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

塩麹作りに適した温度と日数 by 『麹のふしぎな料理力』

昨日、ご紹介した、大分の糀屋本店の女将・浅利妙峰さんと、東京農業大学准教授・前橋健二先生の共著『旨みを醸し出す麹のふしぎな料理力』(東京農大出版会、2012年)。

麹のふしぎな料理力


塩糀の作り方に関して、塩糀を作る温度帯や日数など、「塩糀はこんなしくみで完成します」という章に詳しく書かれているので、こちらも引用してご紹介します。

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麹カビは食塩と混ぜ合わさることで、生育を停止します。

しかし、麹カビが生産した酵素は、生きたまま活力を保ち続け、塩糀を熟成している間に、米デンプンを分解してグルコースをつくり、甘味を増していきます。

細かく見てみると、酵素の働き方は温度によって大きく異なっています。

たとえば、30℃に維持した場合、仕込み後5日目にかけてデンプンの分解が進み、1週間ほどでほぼ終了します。

55℃に維持した場合、酵素は非常に活発になり、デンプンもタンパク質も急速に分解して、12時間ほどで糖濃度もアミノ酸濃度もほぼ最高に達します。

60℃くらいまで温度を上げると、デンプン分解酵素はいっそう活発になり、数時間のうちに糖化がほぼ終了してしまいます。そのかわり、酵素の活力はいくらか衰えている可能性があります。

一方、室温でゆっくり糖化させていけば、酵素の活力はほぼ完全に保たれるので、料理に使うとき、酵素を効果的に働かせることができます。

ただし、室温では、かなり時間をかけても、糖濃度を最高にまでもっていくことはなかなかできません。

温度調整のできるヨーグルトメーカーを利用することができるなら、55℃に設定して発酵させれば、塩糀づくりは一晩で完成します。

この場合、酵素は非常によく働き、しかも酵素活性の低下もほとんど見られません。また、このくらい高い温度でも短期間なら、雑菌が繁殖する心配もありません。

温度が高いほど、発酵が進むにつれて塩糀は黄褐色がかってきます。

これは酵素作用で生じた糖とアミノ酸が反応するアミノカルボニル反応によるもので、みそやしょうゆの着色と同じものです。

家庭では55℃を維持するのは難しいと思います。しかし、最近では、先に上げたヨーグルトメーカーが市販されていますから、それを利用すれば、温度や時間設定が自由にできます。

発酵終了後、室温で長期にわたって放置しておくと、雑菌が繁殖しはじめるおそれがあります。必ず、冷蔵または冷凍で保存しましょう。

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55℃で維持できれば、一晩で完成するんですねー。

明日は、こちらの本の中から、塩麹の美味しさについてのサイエンスをご紹介しますね。

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