(3)2012年8月 輪島訪問記・舳倉島でダニエラ志賀さんが注目したもの
8月26日(土)。塩士・中道肇と、順天堂大学大学院 加齢制御医学講座 協力研究員・ダニエラ志賀さんと、「わじまの海塩」の原料となる海水を取水している舳倉島へ。
1日一往復の定期船「ニューへぐら」に乗って行きます。
標高12.4mの平べったい島。周囲は、約5km、面積1.04km²の小さい島です。
海女さんも出ていました。
海に潜るのは女性、奥さん。舟で待っているのは男性、だんなさん。
そして、舳倉島の製塩所にも寄りました。
舳倉島の製塩所は、水産庁の助成金で建てられたもので、中道肇が設計・開発したものですが、海士町自治体の運営となり、舳倉島の住民の方の手で作られています。
ここでダニエラさんが注目したのは・・・、
製塩時に出てくる不純物の固まりです。
海水を体温低温の低温で濃縮していくと、最初にアクが出てくるのですが、それを取り去った後に、結晶して出てきたもの。
この部分は、粉っぽい塊。成分は、硫酸カルシウム。石膏の元になるもので、水に溶けません。
また、こちらは、針状の結晶。蓚酸(シュウ酸)カルシウムだと思われます。
こちらも水に溶けません。腎臓結石などのもとになる成分です。
この針状の結晶は、釜炊きのように高温で塩作りをしているときには取り除けずに、塩の結晶に含まれてしまうもの。
低温でゆっくり濃縮させているので、取り除くことができるんです。
今年の3月15日に始めてダニエラさんにお会いしたときに、
「わじまの海塩」は釜炊きせずに、体温と同じぐらいの低温で結晶させていますと説明しました。すると、ダニエラさん、塩については、「加熱した結晶塩は身体に悪い、ガラスのような結晶になり、細胞を傷つける」「日本の人はほとんどそのことを知らない」とおっしゃって、手を取り合って、意気投合しました。
そのとき話題になった、高温で加熱した塩に含まれてしまうガラスのような結晶がこれだった・・・。
ダニエラさんも、実際にこのような針状の結晶をご覧になるのは初めてだったそうで、エキサイトしていらっしゃいました。
ダニエラさんも、実際にこのような針状の結晶をご覧になるのは初めてだったそうで、エキサイトしていらっしゃいました。
このような結晶を取り除いてしまうと、海水から採れる塩の生産量はとても少ないのです。
塩士・中道が舳倉島付近の海水を使うことにこだわっているのは、そうでないと、この不純物の量がとても多くて、生産性が低すぎるということもあるのだそうです。
海水のミネラルというのは鉱物で、食用の塩はそのごく一部なのだと改めて考えさせられますね。
さて、この舳倉島の海水を体感しようと、この舳倉島で泳ぐという始めての経験をしました。明日は、それをレポートしますね。