ミシュラン2012の二つ星・赤坂「辻留」の夏の松花堂弁当 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

ミシュラン2012の二つ星・赤坂「辻留」の夏の松花堂弁当

夏のご挨拶に、「わじまの海塩」使用店様・ミシュラン2012の二つ星・赤坂「辻留」へ伺いました。

初代、辻留次郎が裏千家の家元に手ほどきを受け、京都に店を構えたのが「辻留」の始まり。茶道裏千家より出入を許される、懐石料理の名門です。

さりげない掛け軸と季節の野花。茶道のこころですね。

部屋


こちらは、松花堂弁当。

弁当


一つ一つ、どれも丁寧に作られています。

お吸い物。揚げてあるハモに、そうめんが巻かれています。

お椀


水ようかん。

菓子


最後にお抹茶です。

抹茶


ご主人・辻義一さんは、専売公社の塩しか使えなかった時代に、料理人として自然塩の復活を訴えた方です。

去年の12月、一昨年の8月にもご紹介したものですが、まったく古びていない名文、1983年10月号の「月刊 ビックリハウス」(パルコ出版)に掲載された文章をご紹介します。

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「自然塩について」 辻義一

最近、自然食ブームなどといわれますが、もともと食べものは、すべてが自然食だったわけで、わたしどもはちょっと変な気がします。

いわは自然食以外のものが、多く出回っていて、あたりまえのことがあたりまえでなくなったということでしょうか。

食べものについて、科学的な発達するのも良し悪しで、そら恐ろしい気がします。

ところで味には五つの味があります。辛酸鹹苦甘(しんさんかんくかん)とよんでおります。

辛とは、ひりっとからい味、からし、わさび、とうがらし、など香辛料も含めています。

酸とは、酢や柑橘類の酸、そのほか素材の持味の酸味も含めています。

鹹とは、味噌、醤油、塩、塩の味を中心にした味をいいます。すべての味を引き出すのが鹹です。

苦とは、にがいもの、たとえばふきのとうなど食べてみてすぐわかるもののほか、素材のもっているあくのようなものも総じていいます。つまり、苦とは素材の個性といえます。

甘とは、砂糖、味醂とすぐわかる甘味はもちろんですが、新鮮な素材だけが持っている、素材のあまさ、持ち味のあまさも含めています。

辛酸鹹苦甘と書いて、下に行くにしたがって、味の上では重要なこととなり、その味を引き出す鹹というのが、真中にいるといううがった配列になっています。

この真中の鹹つまり塩が今問題になっております。

食卓塩その他のものでも、小さな字で塩化ナトリウム99%以上と書いてあります。これは塩化ナトリウムであると書いてあるのです。

塩というものは、もちろん塩化ナトリウム、にがり、ミネラル、微量ながらの燐とかマンガン等の有機物が含まれて塩を構成しているものなのです。

このことは医学的にも大変問題があるようですが、味の上でのみ考えてみることにします。

塩の味がよくわかるのは、味の薄いもののほうがわかりやすい。

お吸物の味つけは、塩と薄口醤油でいたしますが、塩化ナトリウムをつかいますと、塩からい味が立つというか、直線的にからさを感じて、おいしくありません。

塩からさの中にもまるみがあるというのが塩の味なのです。

いくら良いだしをつかっても、その感じは同じなのです。

味の中心になる塩が良くないということは、あらゆる食品をまずくしています。

漬物、梅干、味噌、醤油、一塩の魚などは直接塩を使うものですが、甘味を引き出すのも塩です。

この塩は、これからみんなで考えていくべき問題であると同時に、早くもとの自然塩にかえすことが出来ればと思っております。
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辻義一さんが、この文章を書かれたのは、1983年。

それから19年たった2002年に、塩の販売が完全自由化されました。

それから10年。日本の飲食業界における塩は、まだまだ精製塩が多いですけど、消費者側から先に、時代は変わっていくようですね。

弊社の社名は「株式会社美味と健康」。「美味しいこと」と「健康であること」を「&」で結ぶ。

当たり前のようでいて、なかなか難しいのが現状ですが、こだわり続けていきたいと思っています。

「辻留」のプロフィール:

住所: 東京都港区元赤坂1-5-8 虎屋第2ビル B1 
アクセス:赤坂見附駅B出口より徒歩5分
     赤坂見附を四谷方向に向かってすぐ左のシェルを左に入ってすぐ。 
電話:03-3403-3984       
営業時間: 12:00~14:00/17:00~21:00 
定休日: 日休 
URL: http://www.tsujitome.co.jp/