発酵食品と胃の中の消化活動は同じ by 「塩麹と発酵食のレシピ」(著:白澤卓二・舘野真知子)
昨日に引き続き、順天堂大学大学院 医学研究科 抗加齢制御医学講座 教授・白澤卓二先生と、発酵料理研究家・舘野真知子さんの共著『塩麹と発酵食のレシピ』(アスペスト、2011年10月6日発行)をご紹介します。
---
主に大豆や米などを使って作る発酵食品は、穀物のたんぱく質やでんぷんを酵素が分解して人体に有益な栄養素を作り出します。
さらに酵素は食材のなかに入り込み、さまざまな成分を細かく分解することで、たんぱく質をアミノ酸に、でんぷんを糖に変えて、胃や腸内で栄養を吸収しやすい状態にさせてくれています。
人が発酵食品以外の食品を食べた場合、胃の中で行われている消化活動と同じことを発酵過程のなかで行っているといえます。
また、新しい栄養素も生み出してくれています。代表的なものは、乳酸菌です。乳酸菌は人の腸内にもすんでいる善玉菌で、悪玉菌を対外に排出したり、善玉菌の増殖を促進したりする働きをしてくれます。
他にも酵素のプロテアーゼは、腸内の老廃物を分解する働きもあります。
---
人は食事をして、消化活動を行うことで栄養を吸収しています。発酵食品はすでに酵素分解によって、消化しやすい状態に変化しています。
また、酵素反応によって善玉菌の乳酸菌が生成されて含まれています。
つまり、消化しやすい状態になった食品に善玉菌がプラスされた食品が発酵食品ということになります。
消化しやすい状態なので他の食品よりも素早く腸内で栄養を吸収でき、即効性のある栄養補給ができるのも発酵食品の特徴です。
----
発酵食品って、すばらしき働きをしてくれますね。
ところで、調理栄養教育公社から出版されている「調理用語辞典」(昭和61年)の「食塩」の項目には、塩の効用として、以下のように書かれています。
ところで、調理栄養教育公社から出版されている「調理用語辞典」(昭和61年)の「食塩」の項目には、塩の効用として、以下のように書かれています。
・酵素作用を抑制し褐変を防ぐ
・微生物の増殖を抑えて腐敗を防ぐ
発行年代からみて、この「食塩」は、精製塩、つまり塩化ナトリウムのことですけど、この塩の効用は、発酵食品の素晴らしさから見て、効用ではなく、「敵」とも言えるものではないでしょうか?
酵素の働きを助けるのがミネラル。特に、マグネシウムがないと酵素も働かないんです。
保存性を高めるナトリウムと発酵を促すマグネシウムとの含有バランスが人の血液と同じで、発酵に適している塩が「わじまの海塩」。
「わじまの海塩」は、体温程度の低温で結晶させているため、溶けやすく、素材にすぐ馴染み、食物が本来持っている酵素や微生物が生み出す酵素を活性化し、素材をアミノ酸や糖に分解し、うま味や甘味を生む塩です。