海水で原子炉の炉心を冷却するリスク―製塩士より― | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

海水で原子炉の炉心を冷却するリスク―製塩士より―

福島第一原発1号機で、原子炉の圧力上昇と加熱で、炉心溶解が心配されており、東京電力は、最終手段として海水を注入して炉心を冷却するという 決断をして、実施中ということです。

海水は、冷却のできる水ですが、水とは違うものです。

以下、輪島の製塩士・中道肇の指摘する危険性をあげます。

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海水が高温になれば、蒸気が出ます。水が蒸発するわけですが、蒸発するのは、淡水の部分のみです。

そして、海水中の淡水が蒸発したあとには、濃い溶液が残ります。

この濃い溶液(いわゆる、かん水)ですが、ミネラル(鉱物)が濃縮されたものですので、比重が高く、とろみがあります。

蒸発した海水を補うために、また海水を補充する際には、その残った濃い溶液分は新規の海水を入れられないということになります。

これを繰り返すと、淡水の部分は少なくなり、比重の高い溶液が増えていき、水の重みが増します。 この溶液の重みは、海水の3倍ほどです。

したがって、この重みに設備が耐えられるか心配です。

また、とろみのある溶液は、期待する冷却効果を失う可能性があります。

また、海水を高温で蒸発させると、最初に、カルシウム系が結晶します。これが設備に付着することでの危険性もあります。

さらに、海水に含まれる鉱物は、高温で電気を発生させ、弱っている設備にダメージを与えます。
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テレビ報道では、海水注入後に、設備が錆びて使えなくなるということしか言われていません。

上記のリスクについて認識があるのか、ないのか、その対処案を持っているのか、いないのか、不明です。

海水の注入はすでに開始されているそうです。

炉心が冷却されるのが先か、海水が濃縮されるの先か、やってみないとわかりません。

もはや、これはイチかバチかの危険な実験です。

杞憂に終わることを祈ります。