モンゴルの岩塩とクロアチアの海塩をめぐる地理と歴史
モンゴルで塩といえば、モンゴルの岩塩が有名ですね。
でも、岩塩というのは、身体に重要な働きをするマグネシウムがほとんど含まれていないんですよ。
岩塩というのも昔は海水だったわけですが、長い長い歴史の中で、マグネシウムなど湿り気のある成分は蒸発したり、滲み出てしまい、残ったのは塩化ナトリウムの固まり、というわけなんです。
もちろん、鉄分など残っているミネラルはありますが。
岩塩の国というのは、もともと人がたくさんは住めない国。ミネラルは、羊などの動物の生の肝臓から取っていたわけです。
Wikipedeaによると、モンゴルの面積は、156万km平米。人口は、267万人。人口密度にすると2人/km平米、だそうです。(実際は人口の3分の1以上が首都ウランバートルに住んでいるそうです)
モンゴルでは、大量の岩塩と、クロアチアから運ばれて来た、少量の海水塩が物々交換されていたそうです。そこには、人間が生きるために必要なものの価値の大きさが現れています。
クロアチアというのは、アドレア海に面した小さな国です。
面積は、6万km平米でモンゴルの約30分の1。でも、人口は4,42万人で、人口密度は80人/km平米。モンゴルと比べると40倍の人口密度になります。
このクロアチアは、周辺の各国がこの小さな領土をほしがって、戦争、紛争が絶えない国です。
なぜかというと、このクロアチアには、塩田があるのです。アドリア海から引き込んだ海水を浅瀬に張って、太陽熱と風で、高熱を加えずに、自然に蒸発させるという天日塩です。
紀元前1世紀に書かれたギリシャ古代史の中に、クロアチア周辺で塩田の領有をめぐり都市国家間の争いがあったことが記されているそうですよ。塩戦争ですね。
海水には藻類が多いというのが特長だそうです。海藻が豊富というのは、フランスのゲランド地方の海にも、能登輪島の舳倉島(へぐらじま)にも共通すること。
地理的に、世界の塩の産地は限定されてくるんですね。
あ、海に接していないヨーロッパ諸国でも、人口が多く栄えている国はあるんじゃない?と思われるかもしれませんが、そういう国は、水に恵まれていて、ミネラルウォーターをたくさん飲んでいるんですよ。
宇宙から地球を見る目で、人間にとって必要な塩(ミネラル)について、地理や歴史を見てみると、科学とロマンがあふれています。