下北沢「高むら」と魚の塩焼きの塩
年末のご挨拶訪問シリーズ(?)で、下北沢「高むら」さん。
つきだし二種。埼玉県産のホウレンソウのお浸しと、タラの白子とたまご。
お刺身。添えられているのは、わじまの海塩と、ユズと、ワサビと、カンズリ。カンズリというのは唐辛子とユズを使った和風の発酵調味料です。
豚ホルモンと聖護院大根の和風煮込み。
食材だけ見ると、いわゆるモツ煮込みですが、まったく別物ですね。
ホルモンは、臭みのある食材ですが、その臭みをすっかり抜き去って、うま味だけを残し、そして、澄んだお出汁のスープで味わうという高村真オリジナルの技。
洋食では、香辛料やハーブなどを駆使して素材の臭みを「殺す」のに対して、和食では、素材の臭みを「消す」ということでした。
寒ぶりの塩焼き。
たらの塩焼き。お味見に、小さい切り身を焼いてくださいました。
少し干してあるそうです。こちらも、タラの臭みが消えています。
どちらの魚も、塩焼きには、「わじまの海塩」を振っています。
和食の料理人さんは、振り塩をするため、塩の粒がまばらなのを嫌う方もいらっしゃるのですが、高村さんは、そのままの粒を使って、塩を振った後に、手の平で押さえて、塩を素材になじませています。「これで大丈夫ですよ」ということ。
この手のひらの体温が加わることによって、きっと、おむすびと同じような効果がうまれる(「霊妙なうま味をかもしだす」)ことになるんですね。
ところで、横田邦信著『メタボリックシンドローム”対策の必須ミネラル マグネシウム健康読本」の中に、以下のような記述があります。
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なぜ焼き魚のプロは粗塩を使う?
マグネシウムを豊富に含む粗塩を使うと、食材のうま味が逃げ出しません。これはマグネシウムが「味の保護砦」を作るからです。
マグネシウムがつくる「保護砦」は、水和集団がつくられるからです。水和をわかりやすくいいますと、「タンパク質やイオン、コロイド粒子などが回りの水分子と結合し、1つの集団をつくること」をいいます。
マグネシウムが水和集団を作った水は、ちょっとした粘り気を持っています。塩化ナトリウムを水に溶いても粘り気は出ませんが、粗塩を溶いた水は軽い粘り気があります。マグネシウムイオンが、水のイオンと結合し、水和集団を作ったからです。
食材で水和集団がつくられると、タンパク質が保護され変性しにくくなります。水和集団は味を保護するわけで、水和集団は、味の保護砦になるわけです。
粗塩を使った焼き魚がおいしく、マグネシウムのない食塩で焼いた魚がおいしくない理由は、ここにあるのです。
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なるほどね、ですね。
「割烹 高むら」のプロフィール:
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定休日:日曜日
高村真さんのブログ:http://ameblo.jp/eberno1/