アミノ酸と世界のうま味の関係
アミノ酸ってご存知ですよね?
生体のタンパク質の構成ユニットで、身体を作る元になっています。
たんぱく質というのは、20種類のアミノ酸が結合して作られているもの。逆に言えば、タンパク質が分解されると20種類のアミノ酸になるということ。
そのうち、必須アミノ酸というのは、体内で合成できず、栄養分として摂取しなければならないアミノ酸を呼びます。人間には以下の9種類が必須アミノ酸だということです。
トリプトファン、リシン(リジン)、メオニチン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン。
必須アミノ酸というのは、細胞分裂を促す働きをします。足りなくなると、皮膚が衰えたり、肝機能に障害が出ることもあるそうです。必須アミノ酸は、体の新陳代謝を促し、老化を防ぐという重要な働きをしています。
残りの11種類は、ヒトの非必須アミノ酸、これらは体内で合成が可能なアミノ酸です。
アラニン、アルギニン、アスパラギン、セリン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、プロリン、チロシン
この中のグルタミン酸は、うま味の成分の代表格。即効性のエネルギー源にもなるものです。
アスパラギン酸は、アスパラガスやもやしに含まれるもので、新陳代謝や疲労回復にいいと言われていて、栄養ドリンクにもふくまれているものが多いですね。
アラニンというのは、しじみや牡蠣に含まれ、脂肪の燃焼促進、免疫機能向上という効果があるそうです。
アルギニンというのも、鶏肉や牛乳や大豆に含まれていて、免疫力を高めたり、筋肉強化の効果があり、成長期に必要なもの。
アミノ酸飲料やサプリメントが流行っているのも、このアミノ酸が大事ということが認知されてきたからだと思います。
それで、NPO法人うま味インフォメーションセンター という団体があるのですが、そちらのホームページに興味深いデータが出ていました。世界のうま味を比較しよう、というもの。
こちらのグラフは昆布だしに含まれるアミノ酸の種類と量。
これは、昆布とかつおの一番だしに含まれるアミノ酸の種類と量です。
昆布とかつおをあわせると、うま味が相乗効果で増えるというのが、表からわかります。昆布だしになかった「ヒスチジン」というアミノ酸は、かつおのうま味成分です。グルタミン酸もアスパラギン酸も増えていますね。
日本のダシは、昆布とカツオ節を使って、とても短時間でダシが取れるのに、「おいしい」と強く感じるアミノ酸をとても多く含んでいるので素晴らしいのです。日本が世界に誇るダシなんですね。
ホームページには、比較として、フランスのチキンブイヨンが出ていました。
(上記の4つの表は、うま味インフォメーションセンターのホームページ
より)
これを見てどう思われますか?
うま味を感じるグルタミン酸の値は一番だしより少ないけれど、いろいろなアミノ酸を平均的に含んでいますね。
私は、「ああ、チキンブイヨンも、湯(タン)も、なんて豊かなんだろう」って思ったんです。
一番だしに比べて、チキンブイヨンや湯(タン)には、栄養分として摂取しなければならない必須アミノ酸が多く含まれています。
日本のダシは、強いうま味を感じるグルタミン酸が多いシンプルなもので、シンプルゆえに、うま味調味料で代用ができてしまったんですね。
このブログで何度も書いていますが、肉や魚のタンパク質が分解されるとアミノ酸なんですね。そして、タンパク質を分解するのは酵素の働き。その酵素を活性化するのはマグネシウムなんですね。
昨今、ダシを取らずに、かわりに、グルタミン酸ナトリウム入りのダシや調味料で味付けをしてしまうような家庭や飲食店も多いですね。
塩化ナトリウムの塩で塩味をつけて、うま味調味料で味付けをすれば、「おいしい」と感じることはできても、そのウラでは、いくら肉や魚を食べていても、重要なアミノ酸がきちんと取れていなかった、という可能性もあるのではないでしょうか?
だから、これだけ肉を食べている日本人なのに、アミノ酸のサプリメントが必要になってしまったんじゃないでしょうか。
でも、アミノ酸をサプリメントで摂る必要はまったくないですね。ちゃんとした食事をしていれば摂れるものです。
どうぞ、料理には、特に肉や魚には、マグネシウムを含む海塩を。
(日本のダシを否定するつもりはまったくありませんので、ご理解くださいませ)