風邪に抗生物質は効くか? | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

風邪に抗生物質は効くか?

風邪を引いて病院へ行ったときに、抗生物質を処方してもらったことがありますか?
風邪に抗生物質は効くのでしょうか?


「日経ビジネス」(日経BP社 2010年10月18日号)に「心と体」というコーナーに、「細菌とウイルス」という記事が載っていました。


この記事を読んで、上述の答えが明確になりました。


昭和大学医学部臨床感染学の二木芳人教授の談話です。引用してご紹介します。


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風邪症候群をはじめとする感染症をもたらすのは病原体である。病原体の種類にはいくつかある。その主なものがウイルスと細菌だ。


ウイルスと細菌の大きな違いは、構造と大きさだ。


細菌は生物であり、細胞を持っているので、細胞分裂を繰り返して増殖する。


一方のウイルスは生物ではなく、たんぱく質の固まりである。そのため、自ら増殖することはできず、人の細胞などほかの生命体に寄生して増殖していく。


細菌による感染例としては、O-157をはじめとする腸管出血性大腸菌やサルモネラ菌、ボツリヌス菌などによる食中毒、結核菌などによる結核、破傷風菌による破傷風、肺炎球菌などによる肺炎や中耳炎・・などが挙げられる。


細菌による感染症と分かれば、抗生物質(抗菌薬)による治療が主になる。抗生物質を使用する限り、細菌は生き延びるために突然変異を起こす。その進化が耐性菌を作り出す。


ウイルスによる主な感染症には、風邪症候群、インフルエンザ、麻疹、風疹、水痘(水ぼうそう)、ウイルス性肝炎、帯状疱疹、エイズなどがある。


ウイルスに対する特効薬はまだない。人間の持つ免疫力が、体内に侵入したウイルスと闘うことが治療につながる。


その一助となるのが、特定のウィルスに対するワクチンだ。例えば、麻疹や風疹、おたふくかぜ、ポリオ、日本脳炎などのウイルスに対しては、ワクチンによる抗体で発症を予防できる。しかし、HIV(エイズウイルス)をはじめとする多くの感染症のウイルスに対するワクチンは、まだ開発段階にあるのが現状だ。


風邪の原因となっているのは、90%以上が細胞を持たないウイルスによるものである。よって、細胞に働きかける抗生物質では、治療効果は望めない。さらに言えば、肺炎やある種の気管支炎以外には、薬の処方は不要だろう。


咳止めや解熱剤などが処方されることもあるが、それは各症状を和らげる対症療法でしかない。

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風邪を治す薬が発明できたらノーベル賞がとれると言われていますが・・・、風邪は、抗生物質では治らないのですよね。それは、細菌とウイルスの違いだということがこの記事で再確認できました。


娘たちが小さかったころ、熱が出て、近所の小児科につれていったときに、診察して「風邪ですね」と言って、薬を出さなかったところと、すぐに薬を出してくれるところとがありましたが・・・。


安静にしていられないと、つい、薬に頼りたくなりますが・・・。


ウイルスは40℃ぐらいの温度で死んでしまうので、熱が出ているときは、自分の体がウイルスをやっつけているんだ、と思って、むやみに熱を下げない方がいいのですよね。


風邪は薬で治らない。自分の体の免疫力を信じて・・・。


体の免疫力をあげるには、やっぱり、体を作る食べ物が大事ですね。