韓国料理研究家のジョン・キョンファ先生の料理教室を訪問 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

韓国料理研究家のジョン・キョンファ先生の料理教室を訪問

7月1日。韓国料理研究家・朝鮮料理モランボン流師範・「KOREAN COOKING ジョン・キョンファ スタジオ」主宰のジョン・キョンファ先生の料理教室を訪問しました。東日本料理学校協会の会員校です。


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キョンファ先生は、「モランボン味の研究所」を拠点に研究活動をしながら「モランボン調理師専門学校」で四半世紀にわたり韓国・朝鮮料理の指導・普及に努めてきた先生です。


NHK「きょうの料理」でもおなじみ。NHKで放送されていた韓国ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」をご存じですか?あの番組のお料理もジョン・キョンファ先生が監修されていたんですよ。


韓国では、キムチという発酵食品があります。


また、焼き肉屋さんなどの韓国料理では、よくコチュジャン(とうがらし味噌)を使いますね。コチュジャン(とうがらし味噌)、カンジャン(醤油)、テンジャン(味噌)などの総称・チャン(醤)は、「大豆や穀物に塩と麹を加えて発酵させた調味料」のことです。


「チャン」はどれも、発酵過程で大豆のたんぱく質が溶解してアミノ酸となり、独特のうま味と香りを醸し出すもので、韓国料理の味の基本を作る重要な調味料と位置づけられています。


弥生時代から能登半島で作られている魚を発酵させた魚(うおびしお・ぎょしょう)と親戚です。ルーツは同じでしょう。韓国のアミの塩辛、イワシの塩辛、タチウオの塩辛なども同じ仲間ですね。


そして・・この発酵には「塩」が重要なんですね。

発酵には、塩のナトリウムとマグネシウムの比率が重要で、塩によって、乳酸菌の育成にも違いが出ることをご説明しました。


発酵学者の小泉武夫先生は、日本の発酵食品のルーツは、魚醤(ぎょしょう)だとおっしゃっています。日本の三大魚醤は、能登のいしる、高松のいかなご醤油、秋田のしょっつると言われています。


秋田のしょっつるは能登に出稼ぎに来ていた人が持ち帰ったものだそうです。そうすると、日本で魚醤ができるのは能登と高松ということになります。


能登には能登の塩、これが金沢の発酵文化を作りました。高松の対岸は赤穂。ここには昔、瀬戸内海で作っていた赤穂の塩がありました。これは京都の発酵文化を作ったわけです。


そして、「ビールの泡実験」をお見せしました。(写真は、「わじまの海塩」ホームページ より)

輪島の塩に魅せられて大手IT企業を飛び出した女社長の奮闘記-ビール実験
塩素イオンとナトリウムイオンが強く結合して塩化ナトリウムの化合物になっている精製塩と、低温結晶でミネラルがイオンの状態に戻りやすい「わじまの海塩」とで、これほど、ビールの泡の出方が違い、味にも違いがあることに、先生もびっくりなさっていました。


キョンファ先生は、乳酸菌をしっかり育てるキムチ作りは、「生き物を飼っているのと同じです」とおっしゃっていました。2,3日不在にするために冷蔵庫にしまってしまうと、乳酸菌が育たないので、やっぱり味が落ちるということでした。


乳酸菌は、アトピーや花粉症の治療薬にもなると研究されている善玉菌の一つ。


「キムチには塩分が多いといって最近は敬遠される方も多いけれど、それなのにヨーグルトで乳酸菌をとっているのは矛盾している」とおっしゃっていて、意見が合致しました。


また、韓国にもいろいろ塩はあるそうですが、「どうも韓国の塩は信用できないのよね」とおっしゃっていました。


キョンファ先生との塩談義は尽きず・・でした。


韓国の女性の肌の美しさやスタイルのよさの秘密は、キムチにあると言われたりしますが、実際にそうで、塩によって、生きた乳酸菌の育っている発酵食品にあるようです。