塩の役割の変遷・・・殺菌・保存から、ミネラルとしての働きへ | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

塩の役割の変遷・・・殺菌・保存から、ミネラルとしての働きへ

かぐや姫の「赤ちょうちん」の歌、ご存知ですか?
歌詞の中に、「あのころふたりのアパートは裸電球まぶしくて」「キャベツばかりをかじってた」というフレーズがあります。

この歌は、私の子供時代、1974年(昭和49年)に発売された流行歌です。このような歌詞に共感する人が多かったほど、このような生活はまだ一般的だったのですね。


電気冷蔵庫の普及率が99%台になったのは、昭和50年代初頭なんです。
だから、このころの塩の役割は、殺菌・保存。「食材の水っぽさ・臭みを取る」「腐敗を防ぐ」というものでした。


産地から一般の家庭に届けられるまでには時間がかかり、まず塩を振って、浸透圧で水気を抜き、素材の臭みをとってから料理する、というのが知恵でした。
また、収穫の少ない季節に備えて、保存食品を作るために、強い塩をしていました。


その後、化学肥料や農薬のおかげで、供給される米や野菜が増え、さらに、食品添加物や化学調味料が発達し、誰もが、それなりに、おいしく栄養のあるものを取れるようになりました。肉を食べることも、特別な日のごちそうではなく、普通のことになりました。


そして、1990年代には、航空便やトラック便などが発達し、冷蔵・冷凍の流通(コールドチェーン)が充実してきました。食材の水っぽさや臭みを取ってくれる脱水シートが発売され、産地からの流通で使われるようになりました。

産地から一般の家庭に、毎日、新鮮な食材が届けられるような時代になったのです。


1993年には「料理の鉄人」というテレビ番組も始まり、日本人1億総グルメ評論家時代が到来しました。


そして、今の時代。
化学肥料や農薬、食品添加物や化学調味料の使用に、疑問がもたれるようになりました。
「おいしければ、それでいいんだっけ?」
「食材がきれいすぎることって、変じゃない?」

「なんだか体の調子がイマイチだけど、自分の食生活は大丈夫なのかしら?」って。


産地表示の食材や、保存料や化学調味料の無添加の食品が出回るようになり、野菜は、有機肥料や無農薬が注目されています。東西南北、四季折々の豊かな旬の食材に恵まれている日本。

インターネットの楽天は、市場(いちば)を経由しない「産地直送」を一般的なものにしてくれました。


これはいってみれば、産業史・人類史としての進化。もう後戻りはしないでしょう。


このような時代の「塩」。
もはや、「食材の水っぽさ・臭みを取る」「腐敗を防ぐ」という塩化ナトリウムだけの塩の役割は終わったのです。

これからは、この変化に付いていける食品業者や料理研究家や料理人だけが生き残れると思います。


2010年・現代の塩の役割・・・それはミネラルとしての働きです。
酵素を活性化し、乳酸菌や酵母の働きを促して、うま味を生むこと。

そして、身体の諸機能の正常化を促すこと。


この今の時代に登場した塩が、低温結晶でミネラルバランスのよい「わじまの海塩」です。