生ビールを使う塩の鑑別法
「辻留」の店主・辻義一さんのお父上は、「辻留」二代目の辻嘉一さん。
この辻嘉一さん仕込みの塩の鑑別法に、水に塩を溶かして白濁するかどうかを見る、というのがあるそうです。
固結防止剤として、炭酸マグネシウムを添加してサラサラにさせている塩だと、塩を溶かしたときに、水が白濁するのです。添加していないものは、透明のまま、というものです。
私が提案する塩の鑑別法は、水ではなく生ビールを使う方法。
生ビールの中には、炭酸ガス(二酸化炭素)が含まれています。液体に溶けている炭酸ガスが気体に変わると泡になります。
液体から気体に変わるには、エネルギーが必要で、「核」となるものを与えると、液体が気体に変わりやすくなり、泡が出ます。
つまり、その塩が「核」になっているか、化合物になっているかどうかがわかります。
まず、わじまの海塩。生ビールの中に、「わじまの海塩」を入れてみます。
「わじまの海塩」の場合には、それほど泡がたたないのです。これは、体温と同程度の低温で結晶させているから。イオンの状態に戻りやすいのです。
一方、赤いキャップの食卓塩。
ぐわ~っと泡が立ちます。
食卓塩でなくても、炭酸マグネシウムを添加していない塩でも、高熱を加えてサラサラにしている塩の場合は、泡がたくさん出ます。岩塩も同様です。
塩化ナトリウムはNaClという化合物。本来、体の中では、Na+とCl-というイオンの状態になって働きます。
この化合物が身体にとけずに残ってしまったら・・・。
塩が体に悪い、減塩にせよ、といわれるのも、これが要因でもあるでしょう。
そして、塩の鑑別法つづき。
その塩を溶かしたビールを飲んでみてください。
この生ビール実験を皆さまに見せたあと、ビールを飲んでいただくと、みなさん、反応は同じです。
「わじまの海塩」の場合には、ビールの味が残っています。
塩化ナトリウムだけの食塩を溶かしたビールの場合には・・・。うぇっ。しょっぱいというより、苦みが際立ちます。
塩なんて、何を使っても同じ、と思われている方、このビールの味、ぜひとも飲み比べてみていただきたいです。
塩で料理の味が変わるというのが実感できると思います。