日本の小児科医療のパイオニア・瀬川昌耆先生の育児談 | 橋本三奈子のSalt Revolution(わじまの塩に魅せられて)

日本の小児科医療のパイオニア・瀬川昌耆先生の育児談

10月13日のブログに、弊社の顧問・瀬川昌威の医師の家系のことを書きましたが、曾祖父・瀬川昌耆(まさとし)先生が森鴎外と一緒の時期にドイツ留学していた時の写真は、これです。


塩売り主婦 奮闘記-森鴎外

中列の右から3番目が昌耆先生。その右横は北里柴三郎先生だそうです。


この瀬川昌耆先生について、「森鴎外と医学留学生たち―日本近代医学の源流」第15回「森鴎外と瀬川昌耆・尾澤主一」(著・山崎三夫・大塚薬報)に詳しく書かれているので、引用して紹介します。


塩売り主婦 奮闘記-瀬川昌耆

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瀬川昌耆(1856~1920)は、日本の小児科医療の揺藍期に、この分野の基礎を築き、指導、貢献した医学者である。

明治21年4月より24年4月まで、満3年にわたりドイツに留学。病理解剖学、生理化学、細菌学を修め、かたわら内科学、小児科学を研究した。


瀬川は小児科を専門的に診たパイオニア的存在の医師である。学術書を多数刊行して小児科医療の指標を示している。明治19年に出版した「小児病各論(全2巻・弘文堂)はその一冊である。前編は小児の消化、呼吸、泌尿、生殖器などの病気について解説。合わせて、常用薬や適応薬の用量、用法、極量を記載している。後編は、血行、伝染、全身、五官、皮膚について詳しく記述している。


こうした専門書を執筆するかたわら、一般向けに多くの啓蒙書も著している。
突然発症し、また、急変しやすい小児病についてわかりやすく説いている。

明治31年、瀬川は、雑誌「世事画報」に「育児談」として、育児上の基本的な種々の注意点を総ルビ付きで掲載した。
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その中の一節、明治の文語で書かれているので少し簡単にして紹介します。


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「病は 十中八九 不養生より来る。特に小児の病においてしかり。小児は無知無識なれば 不養生は 皆 保育者の不行き届きによる。芋、豆、果物、おしんこなど 不消化物を多食して 激烈の胃腸カタルを起こし、夜具を蹴はなし 裸のまま布団の外に転げ出して 急激の感冒症にかかるの類それなり。母たるものわが子の健全を願わば 平生、寝食に注意せよ」

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子供の病気は、普段の親の不行き届きから来ている、というのは、厳しいけれど、現代に通じる言葉ですね。

消化に悪い食べ物をたくさん食べて、胃腸を悪くする、というのは、子供に限らず、まったく今の時代にも当てはまります。

今やっている塩の仕事は、瀬川昌威氏のひいひいおじいちゃんが、導いて、見守ってくれているのかもしれません。



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