輪島の仲間・漆芸家の古込和孝さんの作品展に行きました
「わじまの海塩」のふるさと、石川県の輪島といえば、輪島塗が有名です。
明治時代に、国内はもとより、海外にも輸出されていた芸術作品としての輪島塗。
今では貴重品になってしまった日本産の漆を使って、その高いレベルの輪島塗を再現しようと挑戦している漆作家の友人がいます。それは古込和孝さん。
2008年10月にドイツで開催された世界料理オリンピック大会で、全日本司厨士(しちゅうし)協会の三國清三シェフがコーチとして率いたジュニアチーム。そのジュニアチームの料理を見せるディスプレイとして、輪島塗を使う、それを輪島漆器青年会のメンバが協力して作る、というところのご縁から、古込さんとは知り合いました。
今日は、友人を連れて、日本橋三越本店の本館5階特選和食器サロンで開かれている、彼とお仲間の作品展「輪島 若手作家3人展」を見に行きました。
古込さんは、沈金、螺鈿、漆絵、蒔絵といった技術を、どれも自らの手でやってしまう作家さんです。
その中でも、沈金の「毛彫り」という技は、輪島でも一子相伝といわれる技術です。
つまり、同じく沈金家のお父様から教わった奥義。この毛彫りを彫っているところは、誰にも見せないそうです。
これは茶器の棗ですが、「猿」という作品。このふわふわした毛並み、質感、伝わりますでしょうか。
ノミで彫った上に、金の漆を塗った沈金です。この毛彫りを実現するために、ノミもお手製なのだそうです。
猿の目には、貝を貼っていて、光の加減で、瞳が動くようにみえるという、手の込んだ作品です。
こちらは、竹製のように見えますが、タコ糸を積み上げて器の形にし、その上に、漆をぬって、さらに、竹のフシを彫ったというものです。一般の輪島塗には見られない色です。
実は、舳倉島で撮影した「わじまの海塩」の写真。ここで使わせていただいた朱色の輪島塗のお皿は、古込さんから借りたもので、古込さんのお宅で代々伝わり、何年も普段使いしているというものなのです。
最初、お借りするときに、「海の水に濡れても大丈夫ですか?お塩を乗せても大丈夫ですか?」と確認してしまいました。そんなことは、輪島塗のお皿にとっては、まったく問題ないのだそうです。
古込さんの作品は、東京で開かれる作品展のたびに見に行っていますが、毎回、腕を上げているように感じます。
今回の作品展では、不景気、買い控えのあおりを受けているようですが、輪島塗を世界に発信しようとする活動を続けていってくださいと、仲間として切に思います。
「輪島 若手作家3人展」は今日まででしたが、古込和孝さんの作品は、引き続き、11月3日まで日本橋三越で見られます。
■「うるしはともだち・ギャラリーわいち展」
会場:日本橋三越本店・本館5階 J・スピリッツ
〒103-8001 東京都中央区日本橋室町1-4-1
会期:2009年10月28日(水) ~ 11月3日(火・祝)
10:00~19:00
出品者:四十沢宏治(木地屋)、小田原延子(漆芸家)、桐本泰一(木地屋)
古込和孝(漆芸家)、谷内直人(漆芸家)、山口浩美(漆芸家)
アイウエオ順
在店予定:桐本泰一/10月31日(土)14時~、11月1日(日)・2日(月)終日
古込和孝/10月29日(木)~11月3日(火・祝)
