なぜ、ウイスキーや焼酎の飲みすぎは悪酔いするのに紹興酒は悪酔いしにくい?
東京慈恵会医科大学の横田邦信先生の著書「〝メタボリックシンドローム"対策の必須ミネラル マグネシウム健康読本」(現代書林・2006年)には、マグネシウムの効果が興味深く書かれています。
「なぜ、ウイスキーや焼酎の飲みすぎは悪酔いするのに紹興酒は悪酔いしにくい?」の節を以下に引用します。
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体内に吸収されたアルコールは、肝臓の肝細胞でアルデヒト類に分解されます。さらに酢酸になり、最終的に水と二酸化炭素にまで分解(代謝)され、排泄されます。
私たちには、アルコールを分解する2種類の酵素があります。ADH(アルコール脱水素酵素)とMEOS(ミクロゾームエタノール酸化系)がそれで、ADHはアルコールの70~80%を分解し、残りをMEOSが分解します。
銘酊はアルコールの血中濃度とも関係しますが、二日酔いの主な原因は、アルコールの中間代謝産物であるアセトアルデヒトの残留濃度によるところが大です。アセトアルデヒドから酢酸、さらに水や二酸化炭素への最終的な分解がスムーズにおこなわれないと、体内のアルデヒド濃度が高くなって二日酔いが起こるのです。
経験のある方はおわかりでしょうが、二日酔いは非常に辛いものです。しかし、マグネシウムは二日酔い防止の強い味方になります。
マグネシウムはアルコール分解にかかわる酵素の作用を助けるとともに、アルコール代謝全体の働きをスムーズにします。その結果、アルコールおよび分解産物(アセトアルデヒド、酢酸、乳酸など)が残りにくくなり、二日酔いになりにくくなると考えられます。
「ウイスキーや焼酎を飲みすぎると悪酔いするが、紹興酒は少し飲みすぎても悪酔いしない」
こんな方も、おられるはずです。実は、これもマグネシウムが関係しています。
ウイスキーやブランデーなどの蒸留酒には、マグネシウムは含まれません。日本酒は、上撰でも大吟醸でも100mlあたり1mgと非常に少量です。ビールには7mg(黒ビールは10mg)、ワインには7~9mgです。
紹興酒には、100mlあたり19mgものマグネシウムが含まれています。紹興酒はアルコールのなかでももっとも多くマグネシウムを含むので、比較的多く飲んでも意外に悪酔いしないですむといわれているのです。
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マグネシウムが、アルコール分解酵素を活性化して、アルコール代謝の働きをスムーズにします。
枝豆、ピーナッツは、酒のおつまみの代表ですが、これらにはマグネシウムが多く含まれているのです。
中国に、「塩は百肴の将、酒は百薬の長」という言葉があるそうです。
升酒に塩、というのも、一理あるということですね。
塩化ナトリウムだけの塩ではだめですよ。マグネシウムが重要です。
